こんな日々は認めない。 (ページ10)

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平和な休日を。5【ロート・ロア・猫井・クレア】ページ10

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　ジャリ、と砂を踏む音がする。
　ロートが振り返ると、そこには眠そうに立っているロアが居た。
　首にはマフラーを巻き、手袋を着け、コートを来ている。完全防寒だ。

　「起きれたのね」とロートが驚いたように言えば、ロアはこくんと頷く。
　お互いまだ眠いようだ。いつもより会話が穏やかな気がする。

　ふと、ロアがロートを見た。
　いつも被っている赤い頭巾は今はニット帽。
　猫がプリントされた暖かそうな服にコート、そしてすらりとした長いズボンにブーツ。

　所謂、私服だった。

　「......いつもはそういう格好なのか」

　「まぁ、一応人には紛れているしね」

　ロアは「ふぅん」と返事をして、ちらり。猫井を見据えた。
　目はロートが居なければ飛びかかっていそうなくらいに殺気を含んでいて、肩を竦める。
　だがすぐにその心境を読み取り、ロートに向き直った。

　調子に乗るなよ、とは言われたが―――
　お前が渋っている間に、どうなることやら。

　「＿＿＿＿すげｪ可愛い」

　更に、驚いたようなロートの耳元で「......食っちまいてｪくらいに」と囁く。
　心なしか、彼女の耳が紅く染まった気がした。

　ほら、お前が言わないから俺が先に何度だって言うんだ、と挑発するような笑みを浮かべる。

　悩んでいたら時間がいくらあったって足りないだろうに。
　さっさと行動するが得策だろう。

　「......なｧ、全員揃ったんだろｫ？さっさと行こうぜ。ほら、ロート」

　「えっ、あ、うん...？」

　「＿＿＿＿っ、置いていかないでくださいよ、ロート」

　彼女の手を引いて歩き出す。
　逸らされた視線がまた何かをそそった。

　悔しそうな猫の視線に＿＿＿＿ほら、また調子に乗るぞ？