意味だとか【ロート】 ページ49
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彼女の髪は黒だ。私の髪は色素が薄い。
彼女の顔は綺麗だ。私の顔は醜い。
彼女の願いは美しい。私の願いは執念深い。
彼女には大切な人がいる。私には大切な人は居ない。
『対称的で、対照的だ。対照こそ美だ』
＿＿＿＿その言葉が、私は何より好き。
......まぁ、何を言いたいのかと言えばね、先生。
私はもう少しマシな人間だった気がする、......そういうことだよ。
何をするでもなく、ただ、可愛らしい名前がついていながら物騒な見た目の、それを見つめる。
勝負するか、とでも言いたげな彼女の視線を受け流して、不安そうな顔をするかぐやを見た。
......私は貴女が憧れるような奴ではない。＿＿＿＿所詮は醜いものなのだ、と笑う。
「そちらが彼女を手に入れたとて、私達には何の影響も無いのだけれど、それをする意味って？」
私達には帝が、帝の能力があればいい。
そして彼女を使ったのは、帝の愛する彼女が傷付く危機にあれば、きっと動くと思ったから。
＿＿＿＿けれど、まぁ、そちらが彼女の首に刃物を押し付けて傷付けようとも、悲しむのは結局帝。
私達になんのデメリットがあって？
ふぅ、と溜め息を吐いてはもみの木が消えていった方を見る。
視界にはマイアやかぐやは入っていなかった。
......呼んでくる、と言ったアイツはこちらの状況を知らないだろう。
何も知らぬまま連れてきて、阿呆面を晒すのであったら私は無論、良くできましたと拍手をしよう。
流石ですね貴方は、と満面の笑みもお付けしようか？
カツン、と鋏を地面に突き刺して、退屈そうにそれに寄りかかった。
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作者名：梨紗 x他15人 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年12月3日 18時
