情けなく【もみの木】 ページ46
あまりにも唐突だったから、困惑で思考が、いや時間さえ止まって感じた。
赤い彼女が敷いているのはなよ竹のかぐや、今夜の主役だった。
喉元には銀に光る刃、ロートがあとほんの少しでも手を動かせば、かぐや姫は死んでしまうだろう、ということは止まった思考でも理解できる。
恥ずかしながら、僕の能力が効かないことはなんとなく想定内だったが。
これでは作戦もなにもないじゃないか。
僕が今能力を使っても、ロートには鋏を動かすだけの時間があった。
その場の誰もがあっけに取られている、つまり、これは予定外の事態だったのだろう。
心なしかかぐや姫も顔を歪めているように見える……2人で示し合わせたわけでもないようだ。
「帝と、詠。その2人がいるのなら、早急にここに連れてきてちょうだい」
その、声音から、視線から、彼女が本気だということが伝わって来るようで、身がすくんだ。
2人を連れてくれば、ロートが要求することは決まっている。そしてそれは、連れてきた2人の願いを、思いを、踏みにじることになる。
でも、それでも人死をだすわけにはいかない。
時間だ。
時間さえあれば、きっとなんとかできるはずなのだ。
震える足を動かして、一歩前に進みでる。
「僕が連れてきます。」
情けないほど小さな声で宣言して、月詠詩の元へと歩き出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 17人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あぷり(元はる櫻)(プロフ) - 続編で更新します (2017年12月16日 17時) (
レス) id: 1e40ca4b4e (このIDを非表示/違反報告)
総悟13@サブ垢(プロフ) - 終わりました (2017年12月16日 14時) (レス) id: 296183b3c6 (このIDを非表示/違反報告)
総悟13@サブ垢(プロフ) - 更新します (2017年12月16日 14時) (レス) id: 296183b3c6 (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ(プロフ) - 総悟13@サブ垢さん» 遅くなってすみません、終わりました。 (2017年12月16日 13時) (レス) id: 0d08c1bb88 (このIDを非表示/違反報告)
梨紗(プロフ) - http://uranai.nosv.org/u.php/novel/e071ba2eb19/ 続編です。皆様の予約が終わり次第関連付けしますが、もし足りなくなった場合にはこちらに。 (2017年12月15日 19時) (レス) id: d43f25135a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：梨紗 x他15人 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年12月3日 18時
