こんな結末認めない。【第二夜】 (ページ4)

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半年ぶり【クレア】ページ4

真っ白な霧のなかをただひたすらに走る。

半年ぶりに外に出たから迷子が怖いけど

猫井のお兄ちゃんが僕を呼んでるんだから！

僕に出せる全力疾走で急ぐ。

すると見覚えのある後ろ姿に後ろから抱きつく

「お兄ちゃん！」

お兄ちゃんは少し照れたように笑うと

「クレア、恥ずかしいから…ね？」

と頬を染めて言うので離れてあげると

お兄ちゃんは真剣な顔で

「…グレーテル(・・・・・)、頼んでも良いかな？」

とガラスの玉を指す。なかには女の子が居た。

あれがお兄ちゃんの相棒さんかな？

「良いよ。…本気出すから」

表情を消すと僕は能力を

最大限引き出すための台詞を紡ぐ。

「私の名を唱えよ、罪を唱えよ。

そう、私は…

《魔女殺し(グレーテル)》」

そういうとガラスは割れ、中の少女を

お兄ちゃんは横抱きにして受け止める。

そして霧で眼帯を作ると優しく着けてあげる。

大切なんだな…

そんなことを思いつつ見ているとお兄ちゃんの

いつもの余裕の笑みが戻ってくる。

「さぁ、どうしますか哀れな灰かぶり姫(サンドリヨン)」

うわぁ、悪い顔してる…

シンデレラさんは僕がグレーテルで

あることに驚く。

ヘンゼルとグレーテルはハッピーエンドだから

全然ハッピーエンドなんかじゃない。

僕は認めない。

こんなハッピーエンドがあってたまるものか。

力を使い果たしているからか倒れそうに

なっているシンデレラさんにお兄ちゃんは

そっと微笑むと背中を向けて歩き出す。

腕の中の相棒さんを大切そうにしながら。

原本を取りに行くのだろう。

僕は黙ってお兄ちゃんについていく。

「…ありがとう、クレア」

お兄ちゃんは嗤っていた。

楽しそうに、でも少し悲しそうに。

僕にはお兄ちゃんの気持ちはわからない。

でもお兄ちゃんのお手伝いぐらいはしたい。

今までのお礼を返したい。

お兄ちゃんを守るんだから！