こんな結末認めない。【第二夜】 (ページ26)

今日:3 hit、昨日:5 hit、合計:10,650 hit

チクショウ【ロア】ページ26

.

　あの猫野郎ロートとイチャイチャしやがって。

　悠久古書店のストーブの前で猫のように(実際は狼)丸くなってぼうっとするのはロアだった。
　寒さに尻尾が立つ。「うぅっ」と声を漏らすとまた更にコンパクトになった。

　タチアオイ出版に本が届けられた、といの一番に伝えに来たのはロアであった。
　ものすごい厚着をして、マスクとサングラスを着け、双眼鏡を首からぶら下げて。

　不審なその格好のままそれを伝え、ストーブの前で丸くなっているのだった。
　･･････え？なぜ、コイツが1番か？
　その理由はすぐに分かる。

　―――この狼、ほぼストーカー。

　ほぼ、というレベルではない。
　木の上から双眼鏡で愛しい愛しい赤ずきんを見張るくらいのストーカー。
　自身は否定しているが、れっきとしたストーカーである。

　そのストーカー狼が、タチアオイ出版に本を届ける芳一を見たのだった。題名までしっかりと。

　そのせいで帝は物思いに耽り、周りはどうしたもんかと騒がしい。
　ロートの時のように、改変されては困るからだろう。

　ロアは大きく欠伸をする。
　今回は前回のようにロートを助けてやる気はない。

　･･････言ってしまえば、「作戦に紛れてロートをかっさらう気」はある。
　要するに皆様がチャンバラやってる最中に、ロートを独り占めしようという魂胆だ。

　･･････我ながらいい考え、とぽけっと思う。
　だがロートの近くにはあのチェシャ猫が居るし、ロート自身もビビりながら歯向かってくるだろう。

　力じゃ勝てる自信はあるが、この寒さで俺の体とやる気がどこまで言うことを聞くか。

　「･･････どーしよー･･･かなｧ、･･････」

　そう言っては、ストーブの前でうとうととする。