こんな結末認めない。【第二夜】

出遅れ【マイア】 ページ15

私は出遅れたらしい。

悠久古書店について、待っていたのは文字の並ぶホワイトボード。
書いてあるのは、原書の情報と、作戦。

「赤ずきんって…また面倒くさそうなのを選んだなぁ…」

そう言いつつ、携帯を取り出す。
メールアプリを開き、宛先を本を届けてる方々に設定して、本文を打ちこむ。



『なんか出遅れちゃったみたいなんですけど、援護行ったほうがいいですかぁ？

いらないなら、紅茶淹れて待ってますけど〜

まだ終わってませんよねぇ？

私、あのロートって子の鋏と私のモーニングスターどっちが強いか試してみたかったんですよ〜

まぁそんなことはどうでもいいですけど。

場所とか指定していただければそこ行くんで〜

とりあえずは悠久古書店の屋上にいますねぇ。

マイア』



送信して、自分の荷物の中からのぞいている鎖をひっぱった。
ジャラリ、という大きな音とともに棘鉄球が顔を出す。

それを抱えて外に出てみると、濃い霧がたちこめていた。

「まだ終わってないよねぇ、これは」

そう呟き、モーニングスターを抱えたまま大きく上に跳ぶ。
そしてトン、と軽々と屋上の床に足をつける。

そこから見えるいつも見えている景色は、霧がかかっていて見えない。

「おもしろそう…ふふっ楽しみぃ。」

モーニングスターの鎖がジャラジャラと音を立てる。

小さな巻き髪の少女は、屋上で1人クスリと笑った。

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