小さな【ロア】 ページ38
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小さな子供のような声に、ロアは吹き出しそうなのを堪えるのに必死だった。
・・・・・・ありゃァ、まァ、ロートと少し似ている。
だが少しどこか違って、それが俺は気に食わないのだ。
俺よりずっと前に立って行動するのが好きなシンデレラ様に気を使って今まで黙ってたってのに。
うわ居るよねこういうの、ときっと相手も思っているであろうことを考えて、小さな舌打ちを漏らした。
自分勝手なのは重々承知している。
だが、うん、そうだ――――多分俺はアイツを困らせたいだけなのだろうと思う。
・・・・・・何故だろうか、俺は昔からお姫様がいけ好かねェと思っていた。
シンデレラのみならず、白雪姫から何から何まで。
王子と結婚した、美しく気高い女。
「____不味そう」
プルプル、と小さく身震いしてから、手にはぁと息を吹き掛けた。
何か声をかけられた気がしたが、右から左へと通り抜けていく。
・・・ていうかさ、アリスちゃんの能力は基本的にロートには効かないと思うんだよなァ・・・。
今のシンデレラが言った作戦で行けば、特攻隊長のようなロートは真っ先に幻覚を見せる敵を狙う。
身体能力ではアリスどころか普通の男すら上回るような彼女に、あのアリスが切り刻まれる様子を
考えてみようか。―――なんて。
おぞましすぎて考えられない。考えたくない。
いくらロートが好きだからと言って、アリスが嫌いな訳ではないのだ。断じて。
それに、同じようにシンデレラも嫌いな訳ではないのだ。・・・・・・なんだかんだ言って、
このバラバラの悠久古書店をまとめているのは彼女であるし。
「さて、どうしたもんか・・・・・・」
そう呟いて真っ先に目を向けたのは、自身の爪だった。
・・・・・・俺が切り刻まれる覚悟でロートとぶつかる?
考えてゾッとした。いや相手もきっとビビるだろうが、それ以上に。
赤ずきんが改変されてから、俺はロートと会っていない。
だから彼女が狼(俺)を克服したのか、否か・・・・・・知らないのだ。
・・・少し克服してほしい、という自分と、克服していなかったら俺が居るだけで逃げてくれるかも、なんて
期待をそれぞれ抱いてしまう。
「・・・・・・どっちも嬉しいっちゃァ嬉しいんだが・・・」
ふと見上げた空には、既に霧が薄くかかっている。
不敵に笑う猫の顔を思い出し、顔がぐにゃりと歪むのが分かった。
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あぷり(元はる櫻)(プロフ) - 続編で更新します (2017年12月16日 17時) (レス) id: 1e40ca4b4e (このIDを非表示/違反報告)
総悟13@サブ垢(プロフ) - 終わりました (2017年12月16日 14時) (レス) id: 296183b3c6 (このIDを非表示/違反報告)
総悟13@サブ垢(プロフ) - 更新します (2017年12月16日 14時) (レス) id: 296183b3c6 (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ(プロフ) - 総悟13@サブ垢さん» 遅くなってすみません、終わりました。 (2017年12月16日 13時) (レス) id: 0d08c1bb88 (このIDを非表示/違反報告)
梨紗(プロフ) - http://uranai.nosv.org/u.php/novel/e071ba2eb19/ 続編です。皆様の予約が終わり次第関連付けしますが、もし足りなくなった場合にはこちらに。 (2017年12月15日 19時) (レス) id: d43f25135a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梨紗 x他15人 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年12月3日 18時