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赤ずきん ページ19

「ねえおばあちゃん。どうしてそんなに大きな耳をしているの?」
「お前の声をよく聞くためさ」

おばあちゃんの服を着た『それ』はそう言いましたが、赤ずきんは思いました。おかしい、と。すると赤ずきんは言いました。

「じゃあ、私の声がどれくらい聞こえるか試してみましょう!」

そう言って、赤ずきんは外へ出ました。
だって、やっぱりおかしいのです。おばあちゃんの耳はあんなに大きくありません。三角でも、あんなにふさふさでもありません。

「とにかく、逃げなくちゃ」

そう赤ずきんは思い、一目散に家へと帰りました。
やっとのことで家へつくと、なんと、そこにはおばあちゃんがいるではありませんか。おばあちゃんの病気は、もうすっかり良くなっていたようです。
おかえりなさい、と笑顔のおばあちゃん。がんばったね、と優しいお母さん。
ただいま、と赤ずきんが笑ったその時──パン、と外で乾いた音がしました。驚いて外へ出ると、そこには銃を構えた猟師と──おばあちゃんの服を着たオオカミがいました。

「この人喰いオオカミめ!」

猟師はそう言って、ふたたび引き金を──

「待って!」

そう銃口の前に躍り出たのは、赤ずきん。

「このオオカミは、私と出会ってしまったから私を食べようとしてしまったんです。私と出会わなければ、私を狙うことも、この村へ来ることもしなかったでしょう。……だから、このオオカミは私が責任持って改心させます!」

赤ずきんは、小さな両手を広げ、精一杯の声で叫びました。庇われているオオカミの目には、ひとすじの涙が。

──それから、数年後。オオカミは、赤ずきんから餌を貰えるようになったので、二度と人を襲うことはありませんでした。今では、立派な用心棒です。おばあちゃんも、あれから大きな病を患うことなく元気です。

さあ、これにて。めでたしめでたし。

【改訂版「赤ずきん」より】

すべてが終わったその後で→←終戦【クロワ】



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あぷり(元はる櫻)(プロフ) - 続編で更新します (2017年12月16日 17時) (レス) id: 1e40ca4b4e (このIDを非表示/違反報告)
総悟13@サブ垢(プロフ) - 終わりました (2017年12月16日 14時) (レス) id: 296183b3c6 (このIDを非表示/違反報告)
総悟13@サブ垢(プロフ) - 更新します (2017年12月16日 14時) (レス) id: 296183b3c6 (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ(プロフ) - 総悟13@サブ垢さん» 遅くなってすみません、終わりました。 (2017年12月16日 13時) (レス) id: 0d08c1bb88 (このIDを非表示/違反報告)
梨紗(プロフ) - http://uranai.nosv.org/u.php/novel/e071ba2eb19/ 続編です。皆様の予約が終わり次第関連付けしますが、もし足りなくなった場合にはこちらに。 (2017年12月15日 19時) (レス) id: d43f25135a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:梨紗 x他15人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年12月3日 18時

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