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気づかない笑みと薔薇【月季伊吹】 ページ21

転移所から、一瞬のまばたきのうちに違う場所に来ていた。……ここが戦闘場所か。

別段、感銘は覚えない。日本全国どこにいようと、景色はそう変わらないものだからだ。

僕の目は片方がほとんど見えないから、余計にくすんで見えるのだろうか。


「やっぱり、四季があった方が世界はいくらかマシだよね……っと、感想を言ってる場合じゃなさそうだ」


ヘドロ状の破壊者に目を細める。にらんでるようにも、笑っているようにも見えるかもしれない。

地面を触ると、灰色の茨の蔓が大きく伸びた。破壊者を攻撃していく。

彼らはまるでアメーバのようだ。


「──ッ!」


右からの不意打ちだった。反応が遅れて手の甲が焼きただれ、そこから薔薇が生える。さほど美しくもなく、いたって普通の薔薇だ。今ではとても貴重なものであるのだろうが。傷はひどくないらしい。

僕は名前を知らない人も知っている人にも援助をしたり、僕の能力だけで破壊者を倒したり、協力して倒したりしていた。


「伊吹さん!! 右!!」


またも右からの襲撃だった。沙織里くんがとっさに僕の右側にシャボン玉で防壁を作ってくれる。簡易的なものだったからか数秒もしないうちに壊れてしまったけど、攻撃体勢に入ることができた。


「助かった、ありがとう」
「いえいえ!」


戦う。戦い続けた。そしてもうすぐおわるというところで──限界を向かえた。

僕は花びら()を吐いた。傷口が一部開き、先のよりは美しい薔薇が咲く。

僕はそこで前線から引いた。余談だが──僕は戦いの時ほとんど、微かに笑っていたらしい。

そのことに、僕は全く気づかなかった。

雨の中で【時雨水埜】→←冬班であるからには【夕暮 暖】



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魁來。(プロフ) - 終了しました (2017年12月1日 6時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
魁來。(プロフ) - 更新します (2017年12月1日 6時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
トウキビ(プロフ) - 更新しました (2017年11月25日 19時) (レス) id: 897976709d (このIDを非表示/違反報告)
トウキビ(プロフ) - 更新します (2017年11月25日 19時) (レス) id: 897976709d (このIDを非表示/違反報告)
フリダ‐(プロフ) - 更新終わりました。 (2017年11月24日 19時) (レス) id: f3285e7d53 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:四季紡ぎ。作成メンバー x他9人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年11月12日 22時

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