冬班であるからには【夕暮 暖】 ページ20
あれから少し走り、集合時間ギリギリに転移所へついた
途中で立ち止まってしまったせいか、もうほとんど人が集まっていた
これくらいの距離を走るのは慣れているから息が乱れることはなかったが――いざこの人数を守り切るとなると、かなりの疲労を伴うだろう
緊張とは違うプレッシャーを感じながら、また深呼吸をして心を静めた
俺は一人一人の顔と名字を確認していく
たまに目が合ったりしたが、気にせずに確認していく
――絶対に守る
そんな『誓』を決意した目だったかもしれない
顔を確認していると、遠くに月ヶ瀬が楽譜のような紙を持って辺りを見渡しているのが見えた
たまにチラチラとその紙を見ていたので、誰かに預けようとしていたのかもしれない
・・・俺は前線で戦うから、その楽譜は守れないな
そんなことを思っていると、担当の誰かが整列するようにと声を掛けた
少しすると、総理大臣が現れいきなり話をし始めた
学校の校長先生のような「聞いても為になるのか」と思ってしまうほど無駄な話を延々と
正直な話、総理大臣はあまり好きではなかった
だからと言って嫌い、と言うわけでもなかったのだが……今の政治体制に対して、どこか突っかかる所があったからかもしれない
「そして、今回『初雪奪還戦』と名付けた理由。現在は1月です。『初雪』が1月なのかと疑問に思われた方も多いでしょう。しかし、これこそ今回の作戦の要です。冬らしさが最も高まってる今、特に冬班の皆様の能力は好転するはずです」
冬、か…俺の能力である『冬夕焼』も冬の季語だ。同時に冬班でもあった
近くにいた冬班の奴らの様子を気付かれないように見てみる
紀ノ川や手毬咲はいつもより真剣な顔つきで、先程まで心配そうに楽譜を持っていた月ヶ瀬も、誰かに楽譜を預けることが出来たのか総理大臣の話を集中して聞いていた
班長である井立も真剣な顔で――だが、どこか余裕のある顔だった
「――発生地を潰せた場合には──その地域のみ、一晩だけ『冬』がやってくることでしょう。もちろん、雪も」
緊迫した空気が続く
俺自身、どんな顔をしているか分からないのだが…きっと思い詰めている様な顔をしているだろう
妹によく言われていた「今にも紐無しバンジージャンプをしそうな顔つき」で
左前髪につけていた、夕日のような色をしたピンを外す
そのピンを見た後、同じ顔つきのまま軽く握りしめた
――必ず、守り切る
そんな決意を乗せて
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魁來。(プロフ) - 終了しました (2017年12月1日 6時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
魁來。(プロフ) - 更新します (2017年12月1日 6時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
トウキビ(プロフ) - 更新しました (2017年11月25日 19時) (レス) id: 897976709d (このIDを非表示/違反報告)
トウキビ(プロフ) - 更新します (2017年11月25日 19時) (レス) id: 897976709d (このIDを非表示/違反報告)
フリダ‐(プロフ) - 更新終わりました。 (2017年11月24日 19時) (レス) id: f3285e7d53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:四季紡ぎ。作成メンバー x他9人 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年11月12日 22時