四季紡ぎ。

懐かしのその言葉【丘城日織】 ページ13

「夏班班長、早川綾音からのお知らせでーす。これより、『初雪奪還戦』を行います。手の空いている四季紡ぎは今すぐ出動するよーに。これは私たちの初陣です。間違っても国民の皆様に死に体は晒さないでね。前線に出る者、後方支援をする者は転移所へ。それ以外は本部へ集合せよー！ 以上で放送を終わります。ご武運をー」

ふと、その声に振り返る。

＿＿初雪

そのワードを少し懐かしく感じる。
四季がなくなり、時間が止まったような世界。
あれだけ

『夏は、暑いから嫌い！』

『冬は、寒いから嫌い！』

と言っていたのにいざ無くなると、胸の中に何か溜まるような
なんとも言えない、悲しい気持ちになったことを覚えている。

きっと、四季を知らない子供も沢山いる。
その子達のためにも、国民の皆様のためにも

私達、四季紡ぎは

＿＿何としても、四季を取り戻せなければならない。

「ふぅ...初陣、だよね...」

何か大きな物を背負っていて、とても16歳とは思えないと人々は言うが
なんせ16歳。恐怖心が迫ってくる。

「怖がってたら、初雪、奪還出来ないもんね〜！」

パチンッと両手で を叩く。
そして、後ろを向く、一人の少女
幼いが、そのしっかりとした背中。
＿＿丘城日織は、転移所へ、歩み始める。


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