四季紡ぎ。 (ページ44)

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全力【手毬咲悠】ページ44

今、僕手毬咲悠は多分人生史上最もピンチに陥っている。

理由？それはね……破壊者がどんどん押し寄せてくるから。

さすがに疲れてきたけどここで負けるわけにはいかない。

それは少し前の事だけど教えてあげよう……

―――
季寄せ第一期生敗北前…

「悠、もしも私が消えたら季寄せになって破壊者たちを倒して季節を取り戻してね、」
そう言って悲しげに微笑む僕の姉さんは僕の手を掴んできた。

「でも僕、弱いからきっと無理だよ……」
僕は思わず俯いてしまい、持っていた手毬が下に落ちたのだが姉さんは気にせず優しい声で言った。

「大丈夫、悠は弱くなんてないから…私はどうして悠が自分の事を僕って言うようになったのかも知っているし悠が本当は強いってことも知ってるから言うんだよ、」
僕は言葉を紡ごうとしたが、姉さんは言わせてくれなかった。

「悠、貴方は私のヒーローなの、どんな特撮のヒーローよりもどんな漫画のヒーローよりもだからこそ悠は季寄せに向いていると思ったの、私は思った事しか言わない。それは悠が一番知っているでしょう？」
一瞬息を吸い言葉を紡いでいる姉さん。

「悠、大丈夫。悠ならきっと出来るから……」
そう言うと姉さんは懐から鞘が紺色の短剣を取り出して僕に手渡した。

それからしばらくしばらく経った……
季節が分からなくなっても僕は寒くなってきたら頑張って守ってきた手毬をついて遊んでいた。
姉さんはきっと帰って来るそう信じながら……

だけど、別れは残酷で僕は姉さんの最期に一緒にいることが出来なかった。

でも姉さんが言ってくれた言葉がなければきっと僕はこうして戦場に立つ決意が出来なかった。

だから、姉さんがくれた短剣で僕は戦う。

どんどん迫ってくる破壊者を振動を起こし落とし穴を作ってそこまで誘導する。今回作ったのは僕が今できる最大限の力を使った巨大な落とし穴、そうそう這い上がっては来れない……と思うよ！

それに破壊者を頑張って誘導したから今いる破壊者の数はついさっきまでとは比べ物にならない。

成功すればかなり有利になるが失敗すれば僕は死にかねない。でもこれが今の僕に考えられる一番の戦略なんだ。

大丈夫、僕ならきっとできる……

僕は落とし穴を飛び越えた。

そしてバケモノは……見事に落ちて行ってくれた。

僕はいつもの作業を繰り返す。いつもならなんてことないのだが、今回は規模が違うので桁が違う。やっと終わり僕は一度落とし穴をみて違う場所へと走っていった。