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それが義務【滝宮詠史】 ページ16

伊吹との会話が途切れてしまい、ふと目を上げると何やら紙をもって何かを探しているような月ヶ瀬さんを見つけた。
どうしましたか──そう言おうとした瞬間、整列、と政府の担当者から声がかかる。少しなら大丈夫か、と月ヶ瀬さんのもとへ駆け寄ろうとも思ったけれど、伊吹がこっち、と腕を引く。迷っているとでも思われたのだろうか、分かってるよ、と笑っていると月ヶ瀬さんも自分の位置に行ったらしく、いつの間にか視界から消えていた。
見つかるといいな、月ヶ瀬さんの探し人。

整列しようやく静かになった頃。コツコツ、と靴の音。官僚からの激励でもあるんだろう、と真っ直ぐ前を見据えていると──

「総理大臣……さん?」

伊吹の前に立っていた沙緒里さんが思わず、といったように声を発し、慌てて口を手で塞いでいる。

「……はい、総理大臣さんですよ。えー、皆様季寄せ2期生の方々に置かれましては、日頃から訓練を──」

戦いへ向けて引き締めていた気が途端にゆるむ。皆もそのようで、いい意味で緊張をほぐせた者もいたけど、若干イライラしている人もいるようだ。
なんというか、学校の校長先生の挨拶のようで。こちらを振り返った伊吹と共に目を合わせて笑う。


「そして、今回『初雪奪還戦』と名付けた理由。現在は1月です。『初雪』が1月なのかと疑問に思われた方も多いでしょう。しかし、これこそ今回の作戦の要です。冬らしさが最も高まってる今、特に冬班の皆様の能力は好転するはずです」

そして、冬らしいからこそ季節に関するものを壊そうとする破壊者も増える、という訳か。
冬班の面々もそれを理解したらしく、どことなく他の班の人達より表情が引き締まっている。いつもはのほほんとした風情の紀ノ川さんも珍しく──と言っては失礼かもしれないけど──真剣そのものの雰囲気だ。

そう呑気に話を聞きつつ、周りを伺っていたけれど次の瞬間にその余裕は無くなってしまった。






「そして、この『初雪奪還戦』では破壊者が多く、また破壊者の発生地ともなっている場所の一つで行われることになります。そこの破壊者を殲滅し、発生地を潰せた場合には──」




大きな一呼吸。





「その地域のみ、一晩だけ『冬』がやってくることでしょう。もちろん、雪も」








(※注釈
もちろん発生地は日本各地にあります。その中の一つ、ということです)

迷惑【散花望夢】→←緊張 【月ヶ瀬 亨】



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魁來。(プロフ) - 終了しました (2017年12月1日 6時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
魁來。(プロフ) - 更新します (2017年12月1日 6時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
トウキビ(プロフ) - 更新しました (2017年11月25日 19時) (レス) id: 897976709d (このIDを非表示/違反報告)
トウキビ(プロフ) - 更新します (2017年11月25日 19時) (レス) id: 897976709d (このIDを非表示/違反報告)
フリダ‐(プロフ) - 更新終わりました。 (2017年11月24日 19時) (レス) id: f3285e7d53 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:四季紡ぎ。作成メンバー x他9人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年11月12日 22時

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