陸ノ巻「学校へ来た」 ページ7
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次の日、なんだか妖怪少女との生活にいよいよ慣れてきている。今日で確か、三日目だったか。
「アイザワ！弁当を作ってやったぞ！」
玄関を出る直前、ワラコが弁当を差し出してきた。断ろうと思ったが、彼女の目が痛いくらいに眩しいので致し方なく手作りされた弁当を持って学校に向かうことにした。
弁当なんていつぶりだろうか。
学校へ着くと、同僚であるマイクが手にぶら下げていた弁当に気付き、驚愕の表情を浮かべた。「彼女でも出来たのか！？」と慌てふためいた様子で訊かれたが、即座に「そんなわけないだろ」と否定した。
「お前が弁当なんてめずらしいこともあるんだな！」
「……」
「無視かよ！シヴィー！！」
うるさい同僚は放って置いて、授業の準備でもするか。
「今日は大変そうだの」
「ああ………………？……っ！？」
「どうした、しょーた！？」
「いや……なんでもない。教室に向かおうと思っただけだ」
俺はなるべく冷静になりながら、職員室を出ると、深呼吸をして息を整えながら、再度 中を覗いてみた。やはり、夢ではないようだ。俺の椅子に、呑気にもワラコが座っている。
「なんでいるんだ、アイツ……」
こちらの視線に気付いたのか、ワラコはこちらを向くと、笑顔で手を振ってきた。
いや、手を振ってる場合じゃないだろ。俺はワラコにこっちに来るよう、手を拱(こまね)いた。
「なんだ、アイザワ」
「なんだじゃないだろ、なんでいる」
「箸を入れ忘れたのでな、届けに参っただけだ。まあ本音を言えば、お前さんの仕事っぷりを見物しに来たのだ」
「……そうか。だが、見物は程々にしろ。霊感の強い奴は、お前のことが見える可能性だってあるんだ」
「ワシは霊じゃないぞい！それにいざ見つかったとしても、ワシは自分で対処できる。子供扱いは止めてほしいにゃー」
そう言ってワラコは俺にも見えなくなった。まあ見えなくなったところで探す気もない。
時計を見ると、もうホームルームが始まりそうな時間だった。小走りになりながらも１-A教室へ向かう。
扉を開けると、席を立っていた生徒が一斉に自身の席に着き、騒がしかった教室内も嵐の前の静けさのようだ。俺が教壇に着き生徒ら全員の顔を見詰めると、一名、妙な奴が視界に留まった。
ワラコだ。何であんなとこに。よりによって、爆豪の傍にいる。
俺以外に見えないというのは本当だったらしい。誰もアイツに気付いていないらしかった。
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作者名：烏丸 | 作者ホームページ：( ˇωˇ )
作成日時：2018年3月14日 0時
