誘拐犯 _登坂広臣 (ページ15)

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Ｎｏ．１５ページ15

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オミ「いやぁー、美味かった！」

「オミさん、すっごい幸せそうな顔してた」

オミ「マジ？笑
最近忙しくて、焼肉久しぶりだったからなー」

筋肉バキバキのお腹をポンッと叩いて

お茶目に笑うオミさん

オミ「Aもすごい顔してた笑」

「えっ…」

オミ「小動物みたいで可愛かった
ご飯詰め過ぎてほっぺたパンパンだった笑」

私のマネをしてるのか、頬を膨らますオミさん

少しムッとしたけど、思わず笑ってしまった

「へへっ、その顔面白い笑」

オミ「あっ！！」

「！？」

オミ「声出して笑ったの初めてじゃん！！」

「？…私、ちゃんと笑ってると思うよ」

オミ「いーや！俺の知る限りそれはない！
…なんか、Aも変わったな」

もちろんいい意味で！って付け足す

確かに、最近は心がすごく落ち着いてるし

あの人達のことを考えることもほとんどない

朝起きてから夜寝るまで

頭の中はオミさんのことでいっぱいいっぱいだ

見つけたのかもしれない、”自分の幸せ”を

オミ「おーい、家着いたぞー？」

「え、あ、うん」

私はもっと、世の中を知るべきなのかもしれない

いつかオミさんと約束した

”結婚”のためにも

オミさんと会えたことで

夜の中には悪いことばかりじゃないってわかった

寂しいって思うと、涙が出ることを知った

嬉しいって思っても涙が出ることも

「…オミさん」

オミ「ん？」

「大好き」

上着を脱いでたオミさんは

彫刻のように固まって動かなくなった

少し前の自分なら、こんなことも言えなかった

オミ「そんな…抑えられねーじゃん！」

「今日も、明日も…ずっと一緒に寝たい」

オミ「うん、わかった」

「また、二人でご飯に行きたい」

オミ「また近いうちに行こう、二人で」

「それとね、」

オミ「A、どうしたんだよ急に…笑
まさか…どっか行こうとしてる？」

意味もなく、涙が溢れてきた

今までの思い出が沢山、頭の中で繰り返される

特別なことは何も無い

それでも、何故か伝えたくなった

保証のない未来を約束したくなった

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