誘拐犯 _登坂広臣 (ページ1)

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Ｎｏ．１ページ1

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「なんでそんなこともできねぇんだよ！！」

蹴ったり、殴られたり

酷い時は、カッターで身体を傷つけられたり

酷い毎日を過ごした

死んでるように生きてる毎日が嫌になって

私は、この地獄のような家から抜け出した

タンクトップとショートパンツ

裸足で、一生懸命アスファルトの上を走って

たどり着いたのは小さな公園

どのくらい走ったのかわからないけど

酷い息切れ

私は震える身体を自分で抱き締めながら

ゆっくりとブランコに腰掛けた

ふと、空を見ると星が空いっぱいに広がってた

こんなに星空が綺麗だなんて知らなかった

「…これからどうしよ」

??「…なにしてんの？」

男の人の声に、思わず肩がビクッと揺れた

ゆっくり振り返ると、怪しい格好をした人

帽子とマスクとサングラス

…不審者？

??「こんなとこいたら…誘拐されちゃうよ？」

「…？」

誘拐犯が誘拐されちゃうよ？って…変な人だな

「…行くとこないの」

??「…迷子？」

「…お父さんとお母さんから逃げてきたから」

誘拐犯は隣のブランコに腰掛けて漕ぎ出した

??「じゃあ…暴力振るわれてんだ」

「うん…けどね、私が悪いから」

??「君は…俺にどうして欲しい？」

「誘拐…して欲しい」

.

??「ここ…俺の家」

首が痛くなるぐらい見あげないと最上階が見えないぐらいのマンション

「誘拐犯…お金持ちなの？」

??「その呼び方嫌だな～…オミがいい」

「オミさん」

オミ「…ん」

玄関に入って、初めてオミさんがこっちを見た

オミ「その格好どうした！？」

「…私は暴力振るわれてるの」

私の足に腕に切り傷とか擦り傷とか

傷をオミさんに見せると、腕を掴まれた

オミ「…手首は？」

「…へ？」

オミ「手首は切ってる？」

私は笑って言った

「私は、死ぬことも許されなかったんだから笑」

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