【Free!】待ち人４ (ページ7)

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1人でエレベーターに乗って、自分の部屋の階のボタンを押す。深く息を吐きながらペットボトルを目元に当てた。

目的の階に到着したエレベーターのドアが開いて、出ようとしたがちょうど目の前に凛がいてお互い目を見開いた。
ドアが閉まりそうになったため、私は慌ててエレベーターから出るが、凛はそれに乗ろうとはせずそのままエレベーターの扉は閉まった。

凛「こんな時間に何してんだ」

『飲み物を買いに…』

腕を組む凛にまるで叱られているかのようだ。

凛「んな薄着で彷徨くなよ」

『それさっき宗介にも、』

そこまで言いかけてハッとした私は口を噤む。

凛「…宗介と会ってたのか？」

『たまたま自販機のとこで会っただけだよ』

なるべく平静を装うように持っていたペットボトルを振りながらそう言うと、凛は「そうか」と小さく呟いた。

凛「部屋まで送る」

『すぐそこだからいいよ』

おやすみと凛の横を通り過ぎようとしたが、手首を掴まれて進めなくなってしまう。
何？と凛を見れば、じっとこちらを見ている凛と目が合う。

凛「無理に笑わなくていい」

『…っ、無理になんて』

すっと細められた目に、これ以上何を言っても無駄だと口を閉じる。

凛「なんかあんなら言えよ」

『…何も無いよ』

沈黙の中どうしたものかと考える。
明日は大事な試合があるのだから、凛に心配なんてかけていられない。でも、このままでは何を言っても納得してくれるようには思えなかった。

凛「…言いたくねえなら無理には聞かねえよ。でも、なんかあんなら頼ってくれよ」

そう言われてぐっと唇を噛む。
凛に心配なんてかけたくない。宗介のことも話せない。隠し事も本当はしたくない。
色んな気持ちがどんどん溢れて、さっき宗介に泣かないと言ったのに泣いてしまいそうだ。
最近涙脆くて困る。

『凛には明日の試合に集中して欲しいの…ほんとに何も無いから』

静かに私の言葉を聞く凛。

『…何も無いけど、ちょっとだけ…っ苦しい』

最後の声は小さくて凛に聞こえたか分からない。
でも掴まれていた手首を引かれて、気づけば背中に凛の腕が回っていた。

凛「話せるようになったらでいい。でも我慢すんな」

その言葉に、我慢していた涙が溢れた。