【Free!】待ち人４ (ページ4)

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『なんで…嘘なんてっ』

そう呟く私の顔に、そっと宗介の手が触れた。

宗「お前には…笑ってて欲しかったんだ」

そう言って宗介が私の目元を拭ってくれる。

宗「俺は、お前を泣かせてばっかだな」

せっかく拭ってもらっても、私の涙は止まらなくて、きっと苦笑しているであろう宗介の顔も見えなかった。

いつかのように引き寄せられて、私の涙が宗介のジャージを濡らした。

『お前の泣き顔は、苦手だ』

____…

自販機で買ってもらったペットボトルを目に当てて冷やす。油断したらまた涙が出そうで、ゆっくりと息を吐き出した。

宗「この夏が最後だ。終わったらお前の言うこと何でも聞いてやる。だから…凛たちには言わないでくれ」

ぎゅっと目を閉じて、唇を噛み締めた。
やっぱり、私には宗介を止めることなんてできない。
泳がないでなんて、言えるわけがなかった。

名前を呼ばれ、そっとペットボトルを離す。
じっとこちらを見つめる宗介と目が合って、「頼む」と真剣な表情で言われてしまった。

首を横に振ることもできず、私は小さく頷いた。
それに少しほっとしたように表情を和らげた宗介は、帰るぞと私の手を引く。

『…宗介。辞めて欲しくない』

最後の悪あがきでそう言うと、一瞬宗介の手の力が強くなったような気がした。

宗「…お前は俺が泳ぐの嫌いだろ」

揶揄うような声にまた視界が歪んだ。
確かに昔は宗介が水泳ばかりするのが嫌だった。それは泳げない私をおいて、泳ぎに行ってしまうのが寂しかったからだ。
だけど今は違う。

『好きだよ』

今度ははっきりと宗介の手の力が強くなったのが分かった。