−143− ページ1
カズ兄に聞きたいことがあって来たと説明すれば、ちょっと待ってろと言われて、住居の方に上がらせてもらった。
カズ兄は宗介の従兄で、小さい頃はたまに遊んでもらったりもした人。私と宗介にとっては兄のような存在だ。
暫くするとカズ兄が丼を片手にやってきて、私の座る目の前のテーブルに置く。
数「飯食ってねえんだろ?カズ兄特製まかないだ」
もう少ししたら休憩だからそれまで食って待ってろと言われ、言われた通りに作ってもらった夕飯を食べて待つ。
もう少しで食べ終わる頃にカズ兄が戻ってきて、私の前に座った。
『急にごめんなさい』
数「気にすんな。美味かったか?」
素直に頷けば、カズ兄は嬉しそうに笑う。
お茶を飲む私に、「んで、どうした?」と来た理由を聞いてきた。
『…宗介は、なんでこっちに戻ってきたの?』
私の質問に、カズ兄は少しだけ間を開けてから「宗介はなんて?」と質問を返してきた。
その反応で、カズ兄が貴澄が言っていた宗介の肩のことを知っていると思った。
『スカウトが来たから残り一年はこっちで泳ぐって。でも…嘘なんでしょ』
視線を上げてカズ兄を見れば、難しい顔をして腕を組んだ。
どう言おうか迷っているのか、黙り込んでしまったカズ兄。もうそれが私の言葉を肯定していた。
『…酷いの?』
数「俺からは何も言えねえ」
『お願い、教えてよ』
食い下がる私の名前をカズ兄が落ち着いた声で呼ぶ。
数「お前はそれを聞いてどうする?」
1326人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アコ | 作成日時:2023年9月10日 4時