【Free!】待ち人２ (ページ5)

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「A大丈夫？」

『うん、眠いだけ』

昨日の出来事が忘れられず、夜あまり眠れなかった私は朝から机に突っ伏していた。

真「おはよ…体調悪いの？」

「そうみたい、だからそっとしておいてあげて！」

『眠いだけだから』

そう言うと、真琴は何かを言いかけてから少し間を置いて「それなら良かった」と眉を下げて笑った。

____…

「お昼ご飯は？」

『要らない』

何か軽いものも買ってくる！と購買に向かう彼女に「だから要らないって」と言ったがちゃんと聞こえただろうか。

モミジが出ていった入口から、ひょこりと見覚えのある顔が教室を覗き込んでいるのが見えた。

私に気付くと、ぱあっと笑顔を作った後に教室に入っていいものかどうかキョロキョロとしている。

コロコロ表情を変える彼女に小さく笑って、だるい体を起こした。

「Aちゃん！」

『久しぶり、江』

教室の外に出て、廊下の壁に寄りかかる。

江「あのね、実は…」

もごもごと何か言いたげに口を動かす江。
どう話そうか迷っているのか、なかなか口を開かない彼女に私から質問してみた。

『凛のこと？』

私がそう言うと、驚いた表情を浮かべる江。
昨日見た顔と似ていて、やっぱり兄妹だな…と目を細めた。

江「もしかして会ったの！？」

『うん、何も言わないで無視されちゃったけどね』

期待の眼差しを向けられたが、私の返答にその顔は暗いものに変わってしまった。

江「ほ、ほらあれだよ！Aちゃん凄く美人になったから気づかなかった！…とか」

そんな事を言われて苦笑しながら、江の顔を見た。

『江も会わないうちに随分大きくなって…さらに可愛くなっちゃって』

江「もう、何それ！親戚のおばさんみたい！」

クスクスと笑う彼女は本当に可愛い。
それに、会わないうちに私より少しだけ身長が高くなってしまっている気がする。

江「Aちゃん、全然連絡してくれないんだもん！宗介くんと一緒」

その名前に息を飲んだ。
そうか、江のところにも連絡は来ないのか。

『…凛、鮫柄？』

江「うん、先月帰国してこの春から…けど家には帰って来てなくて。Aちゃんなら何か知ってるかなって」

『…そっか。ごめん、何も知らない』

自分で言ってて胸が苦しくなった。

帰ってきたのに何も連絡はない。

会っても何も言ってくれない。

結局、私はその程度の存在だったのだ。