【Free!】待ち人２ (ページ32)

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そして遂に県大会当日がやってきた。

大会一日目のプログラムはフリーからのスタート。
ハルは4組目で隣のコースには凛の名前があった。

ここで各種目ごと上位8名に入らなければ、地方大会には進めない。

応援席から他の学校の選手を見ていれば、誰かが江を呼ぶ声が聞こえた。そちらを見れば、鮫柄の人達が入ってきていて、部長さんが江に笑顔で手を振っている。

そのメンバーの中に、凛の姿は見えなかった。

隣に立っていたハルが動いて、私の後ろを歩いていく。

声をかけるタイミングを逃した私は、ただハルの背中を見送ることしか出来なかった。

_____…

渚「次はハルちゃんと凛ちゃんの番だよ！」

渚が指さす方を見れば、確かにハルと凛が入場してきたところだった。

天「松岡さんはどっちを応援するの？」

江「もちろん！どっちも！ね、Aちゃん！」

『え、あ…うん』

頷きながらも、私はなんとも言えないモヤモヤを感じていた。
この勝負で、何か変わるのだろうか。

手を置いていた手すりをギュッと握りしめた。

合図と同時に飛び込んだ2人。
始まって直ぐに、凛がどんどんハルを引き離して先にターンに入った。

後からターンに入ったハルも食らいついて、追い上げてきた。

そのままゴールしたハルと凛。

結果が表示される電光掲示板には、松岡凛の隣に"１"と表示されていた。

真「ハルが、負けた…」

渚「そんな」

江「しかも、予選落ちなんて…」

両手を上げて喜ぶ凛

その姿を見て、どうして私は笑えないのだろうか。

昔だったら一緒に喜んで、大声で名前を呼んでいたのに。

ハルの応援もちゃんと出来なかった。

やっぱり私は、また水泳に関わってはいけなかったのかもしれない。