【Free!】待ち人２ (ページ14)

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『…なんで』

真「ごめん。この前、コンビニでバイトしてるって言ってたから…」

そう言ってレジ前に立つ真琴は「待っててもいい？」と申し訳なさそうに続けた。

_____…

真「急にごめん…Aには話しておこうと思って」

本当にバイト終わりまで待っていた真琴と合流して、公園のベンチに座った。

『なに？』

真「…ハルが中学で水泳部を辞めた理由」

小さく息を飲んだ。
どうして真琴がそれを知っているのか。なぜ今話すのか。私の心を読んだかのように真琴は「俺もついこの前知ってさ」と付け加える。

真「中学一年の冬…」

私は真琴の話を黙って聞いていた。
真琴もハルから直接聞いた訳ではなく、SCのコーチだった人から聞いたと。

ハルが水泳部辞める前、ハルは帰省していた凛とばったり会い、勝負をしていた。

しかし勝者はハル

留学までしたのに負けてしまった凛はショックを受け、水泳を辞めると言ったらしい…

だからハルは競泳を辞めた。
凛を傷つけてしまったから。

真「もっと早く話せばよかった。ごめん、なかなかタイミングが分からなくて」

真琴の言葉に私は首を横に振った。

『ずっと、なんでって思ってた』

ハルの辞めた理由だけが分からなかった。
もしハルが残っていたらと、何度も考えたことがある。

『話してくれてありがとう』

そう言うと、真琴はホッとしたように笑った。

真「…見学だけでもいいから、水泳部顔だしてよ。もちろん入部してくれると嬉しいんだけど」

『言ったでしょ、私は』

「でも」と私の言葉を遮るように真琴が口を開く。

真「合同練習のとき、ハルの泳ぎを見ているAの目は、あの頃と同じ目だったよ」

真っ直ぐにこちらを見てそう言ってくる真琴。その言葉に、私は少しだけ目を見開いたあと、視線から逃れるように目を逸らした。