【Free!】待ち人２ (ページ1)

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春

出会いの季節だとか、別れの季節だとか言うけれど、今年の私は特に何も無い。

今日から二年になるが、クラスメイトが変わっても殆ど私の生活は変わらず、今まで通りだろう。

クラス発表をみる人の多さに顔を顰め、私は自分の名前を探す。
すると、ドンッと右側に衝撃を受けた。

「A！今年も私たち同じクラス！」

そう言いながら私の腕に自分の腕を絡めるのは、去年同じクラスで知り合い、現在唯一の友達と言えるモミジ。

「今年もしっかりAのボディーガードするからね！」

『あー、うん。よろしく』

なんのボディーガードなのかよく分からないが、説明されるのも面倒臭いから適当に返事をしておいた。

モミジのおかげでクラス表から自分の名前を探すことなく、1組ということが分かり教室に移動する。

教室に到着して席を確認すれば、モミジとはかなり離れてしまい、絶望し騒ぎ出す彼女に「すぐに席替えあるでしょ」と言って落ち着かせた。

窓側の後ろから2番目。
春ならこの席でいいな、と思いながら移動すれば、見覚えのある人物が視界に入った。

「あ、」

相手もこちらに気づいたのか、小さく声を上げる。

真「同じクラスだったんだ…よろしく！」

少しだけぎこちない笑みを浮かべるのは、中学が同じだった橘真琴。

今まで同じクラスになったことがなく、彼が中学で水泳部を退部してから殆ど喋っていなかった。

『うん、よろしく』

それだけ言って自分の席に座る。
真琴が何かを言いかけてた気がしたけど、私は手元の座席表に視線を移した。

私の席の斜め後ろに"橘"

そして私の席の後ろ。今は誰も座ってはいないがちゃんと名前は書いてあった。

"七瀬"

早く席替えしたい

そう思いながら、窓の外を見て小さくため息をついた。