−4− ページ4
凛がオーストラリアにいく。
それを聞いた時、私は素直に応援できなかった。
凛に素っ気ない態度を取ってしまい、その時の凛の表情はとても悲しそうだったのを覚えている。
あの時の私はまだまだ子供だった。
凛「岩鳶に行くことにした。一緒に泳ぎたい奴がいるんだ」
オーストラリアに行くまでもう少し時間があると思っていたのに、凛は私と宗介を置いて岩鳶に行ってしまった。
凛が岩鳶に行った理由は"七瀬遙"だった。
彼の泳ぎは私も何度か見たことがあったし、その彼を凛が見ていたことも知っていた。
でもやっぱり、凛には私たちのそばにいて欲しかった。
凛がこっちで泳ぐ最後の大会。
私もその会場で泳ぎを見ていた。
泳ぎ終わって仲間たちと笑顔で話す凛を見て、羨ましいと思っていた。
私には凛にそんな顔してもらえない。
『お疲れ宗介』
宗「ああ」
大会が終わって、宗介と合流した。
『凛たち、凄かったね』
私が一方的に話すだけで、宗介は黙って私の話を聞いているだけだった。
『凛は、私たちよりあの子達の方が好きなのかな』
その言葉にも、宗介は何も言ってはくれなかった。
凛「宗介!A!」
帰ろうとしたところで後ろから凛が走ってこちらにやってきた。
『凛…お疲れ』
凛「サンキュー!」
凛が私たちを見つけてこっちに走ってきてくれたことが何だか嬉しくなった。
さっきまで暗い気持ちだったのに、案外私は単純だったようだ。
凛「宗介は見送り来てくれるんだよな?」
宗「あぁ、当たり前だろ」
見送り…本当に凛はオーストラリアに行ってしまうのだ。
凛「Aは?」
『え…』
宗介に向けられていた目がこちらに向けられる。
何となくその目から逃れるように視線を逸らした。
するとぎゅっと私の右手を握られた。
それに驚いて視線を戻せば、真っ直ぐな凛の目と合う。
凛「俺はAにも来て欲しい」
『…わかった、宗介と行くね』
この時の私はそう言うことしか出来なかった。
491人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アコ(プロフ) - トキヤloveさん» コメントありがとうございます!更新させていただきました!楽しんもらえると幸いです! (2021年10月12日 0時) (レス) id: b7dc70b3b5 (このIDを非表示/違反報告)
トキヤlove(プロフ) - アコさん» こんばんは 続き楽しみに待ってます。頑張ってください。 (2021年10月10日 21時) (レス) id: 321a17ab2b (このIDを非表示/違反報告)
アコ(プロフ) - トキヤloveさん» 初めまして。コメントありがとうございます!また応援もありがとうございます!引き続き楽しんでいただけるよう頑張ります! (2021年10月6日 0時) (レス) id: b7dc70b3b5 (このIDを非表示/違反報告)
トキヤlove(プロフ) - こんばんは 初めまして、トキヤloveといいます。続き楽しみに待ってます。頑張ってください。 (2021年10月4日 20時) (レス) id: 321a17ab2b (このIDを非表示/違反報告)
アコ(プロフ) - みらさん» コメントありがとうございます!そう言ってもらえてとても嬉しいです!なるべく早く更新できるように頑張ります! (2021年9月23日 1時) (レス) id: b7dc70b3b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アコ | 作成日時:2021年9月17日 0時