生意気と後輩(3) ページ30
『早く帰りてぇからちゃっちゃと終わらせろ』
Aのプレッシャーに半泣きになりながらも、伊地知は何とか実習を終わらせることが出来た。
といっても、やっぱり一人で全てを祓うことは出来ず、何度かAに手伝ってもらった。
自分はギリギリなのに、涼しい顔で「帰るぞ」と車の方に向かうAに、伊地知は息を切らしながら謝った。
『何が?』
伊「何度も、サポートに入ってもらって…私は全然、動けませんでした、だから」
振り向いたAは真顔で伊地知を見つめる。そんなAの目を真っ直ぐみることが出来ず、伊地知は地面に視線を移した。
『お前、呪術師になりてぇの?』
ドキリとした。呪術師になりたいからこの学校に来たが、呪術師としてやっていく自信がなかったから。
Aの質問に、伊地知はすぐには答えられなかった。
『俺はさ、たぶん呪術師しか稼ぐ方法ねぇんだわ。将来他の職に就けるとも思えねぇし』
突然Aが自分の話をし始めたことに驚き、伊地知は下ろしていた視線を上げた。
『けどお前は他にも向いてる事けっこーあると思うぞ。真面目野郎っぽいし』
「真面目野郎」という言葉がグサリと胸に刺さる。泣きそうになりながらも、伊地知はグッと堪えた。
『呪術師になりたいならなればいい。強くなりたいならなればいい』
「そんな簡単に言わないでください」とは彼に向かって言えなかった。
『自分が一番後悔しなくて、そんで長生きする生き方を選べ』
その言葉に伊地知は目を見開いた。そして「長生きする生き方」と小さくつぶやく。
呪術師は一般人よりも死の危険が多い。そういう世界だ。
『腹減ったな。戻んぞ』
そういったAの背中を見ながら、先程の彼の言葉に、伊地知は改めて呪術師が危険な職だと実感した。
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涼羅 - 最高すぎます! 夢主くんの不器用な優しさが大好きです!このまま全員で幸せに暮らしてくれー…(;;) (11月6日 20時) (レス) @page34 id: e29423faae (このIDを非表示/違反報告)
mami(プロフ) - すごくすごくすごく面白かったです!!!! (2023年2月20日 1時) (レス) @page34 id: a8940d6b3a (このIDを非表示/違反報告)
M - ハピエンサイコーです!!!!面白かったです!! (2022年11月9日 22時) (レス) @page34 id: 4b18ae76aa (このIDを非表示/違反報告)
来世はマカロニになりたい - めっちゃこの小説大好きです!!!番外編とかちょー好きです!!!!!!! (2022年3月27日 18時) (レス) @page34 id: ce524a8807 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 最高に面白くて良かったです! (2022年2月6日 12時) (レス) @page34 id: 8c70df45d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アコ | 作成日時:2021年2月27日 3時