検索窓
今日:5 hit、昨日:26 hit、合計:198,377 hit

生意気と後輩(3) ページ30

『早く帰りてぇからちゃっちゃと終わらせろ』


Aのプレッシャーに半泣きになりながらも、伊地知は何とか実習を終わらせることが出来た。
といっても、やっぱり一人で全てを祓うことは出来ず、何度かAに手伝ってもらった。


自分はギリギリなのに、涼しい顔で「帰るぞ」と車の方に向かうAに、伊地知は息を切らしながら謝った。


『何が?』


伊「何度も、サポートに入ってもらって…私は全然、動けませんでした、だから」


振り向いたAは真顔で伊地知を見つめる。そんなAの目を真っ直ぐみることが出来ず、伊地知は地面に視線を移した。


『お前、呪術師になりてぇの?』


ドキリとした。呪術師になりたいからこの学校に来たが、呪術師としてやっていく自信がなかったから。
Aの質問に、伊地知はすぐには答えられなかった。


『俺はさ、たぶん呪術師しか稼ぐ方法ねぇんだわ。将来他の職に就けるとも思えねぇし』


突然Aが自分の話をし始めたことに驚き、伊地知は下ろしていた視線を上げた。


『けどお前は他にも向いてる事けっこーあると思うぞ。真面目野郎っぽいし』


「真面目野郎」という言葉がグサリと胸に刺さる。泣きそうになりながらも、伊地知はグッと堪えた。



『呪術師になりたいならなればいい。強くなりたいならなればいい』


「そんな簡単に言わないでください」とは彼に向かって言えなかった。


『自分が一番後悔しなくて、そんで長生きする生き方を選べ』



その言葉に伊地知は目を見開いた。そして「長生きする生き方」と小さくつぶやく。
呪術師は一般人よりも死の危険が多い。そういう世界だ。


『腹減ったな。戻んぞ』


そういったAの背中を見ながら、先程の彼の言葉に、伊地知は改めて呪術師が危険な職だと実感した。

生意気と後輩(4)→←生意気と後輩(2)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (786 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2079人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

涼羅 - 最高すぎます! 夢主くんの不器用な優しさが大好きです!このまま全員で幸せに暮らしてくれー…(;;) (11月6日 20時) (レス) @page34 id: e29423faae (このIDを非表示/違反報告)
mami(プロフ) - すごくすごくすごく面白かったです!!!! (2023年2月20日 1時) (レス) @page34 id: a8940d6b3a (このIDを非表示/違反報告)
M - ハピエンサイコーです!!!!面白かったです!! (2022年11月9日 22時) (レス) @page34 id: 4b18ae76aa (このIDを非表示/違反報告)
来世はマカロニになりたい - めっちゃこの小説大好きです!!!番外編とかちょー好きです!!!!!!! (2022年3月27日 18時) (レス) @page34 id: ce524a8807 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 最高に面白くて良かったです! (2022年2月6日 12時) (レス) @page34 id: 8c70df45d4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:アコ | 作成日時:2021年2月27日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。