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車内はみつ先輩が
前に好きだと言ってたバンドの歌が流れる。
ちなみにそれを知った梨花も聴きはじめて、
私も何曲かは無理やり聞かされた。
「昔から知ってて仲良いんだけど、
こいつ超人見知りでさ。
直してやろうと思って連れてきたの。
梨花とAなら話やすいかなって思って」
玉森くんをバックミラーで確認しながら楽しそうな口調でそう言うみつ先輩。
「別に良いって言ったのに無理やりさ」
「そう言う言い方すんなよー
俺の好意をさぁー」
すっごく仲がいいのが伝わってくる。
5個も歳離れてるはずなのに。
弟とお兄ちゃんって感じ。
梨花は緊張で、
私は若干車酔い気味で、
玉森くんは何も話さないし…
そんな微妙な空気でシーンとなりそうな時もすかさずみつ先輩が盛り上げてくれて、
退屈することなく目的地に到着した。
「梨花、お前そんな靴で登れる?」
「ぜーんぜん大丈夫です!」
梨花が気合い入れて履いてきたヒールが高めの靴は、今から待っている予想以上に険しめの道を登るはきつそうだ。
そんな梨花に「ほら、つかまれ」って言って手を差し出してるみつ先輩。
いい感じだなーあの2人。
後ろから見ていて自然と口角が上がってニヤけてくる。
いろんな意味で頑張れ、梨花。
後ろからエールを送っていると、
横から玉森くんの嫌な視線が突き刺さった。
なんだか変な人を見るような不審な目。
「置いてくよ?」
そう言ってスタスタ歩き出してしまった玉森くん。
「ちょ!待って!」
慌てて追いつくけど、脚の長い彼に着いて行くのは相当きつい。
頑張って歩くけどさっきから足場がゴツゴツして歩きにくいし、
梨花ほどではないとは言え少しのヒールが足にこたえる。
夜景とかあんま興味ないし、
今日1番重要な梨花とみつ先輩はいい感じそうだし
関係ない私はゆっくり行くか。
これ以上ハイスピードで登り続けてたらダメだと体がSOSを出してる。
そんな判断を下した私は、どんどん小さくなって行く玉森くんを追うのを辞めて足を止めた。
そこからはチマチマと足を前に出して歩き出した。
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作者名:None | 作成日時:2018年2月27日 17時