第8話 謎の集団 ページ8
「監督が居ないとなにも出来ない
お子様の集まりだったとは、思いませんでした」
言いながら私達を通り過ぎ、
理事長の元まで歩み寄る。
「本当にこの子達に地球の未来が託せるんですか?
彼等は一度、エイリア学園に負けているんですよ?」
「だから勝つんです!」
瞳子さんの背中にそう言い放った守。
その人は顔だけをこちらに向けた。
「一度負けたことは、次の勝利に繋がるんです!」
守がそう言った時の仲間達の表情は、
決意のかたい心をあらわにしている。
「……頼もしいわね。でも私のサッカーは今までとは違うわよ」
そこまで言うと、やっと体ごとこちらを見た。
そして、最後にこう言い放つ。
「覚悟しておいて」
そう言った時の瞳子監督の顔には、
挑戦的な笑みが浮かんでいた。
〜･〜･〜
『諸君、すぐに戻ってくれ! 奈良でエイリア学園の襲撃があったのだ!』
やっと自由行動がとれると思えば、すぐにこれだ。
折角奈々と楽しく話して居ようと
思ったのに、時は刻一刻と過ぎていく。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
にこにこと笑いつつ首を傾げながら聞いてくる奈々。
その年相応の振る舞いだ。
「……ごめん、奈々。暫く戻れなくなりそうなんだ」
「どこかへ行くの?」
「うん、戦いに行くの」
「戦いに? 誰と?」
「宇宙人、かな」
「宇宙人!?」
途端に顔を真っ青にさせた。
こういう系統の話はあまり得意ではなさそうだ。
「だから、暫く戻れないの。良い子に待っててくれる?」
「う、うん! 絶対に勝ってきてね!」
「もちろん。帰ってくるまで、これをお守り代わりに持っていてあげてね」
言いながら私が手渡したのは、イルカのストラップ。
暗い場所では蛍光に光るものだ。
「ありがとう!」
「じゃ、行ってくるね」
最後に奈々の頭をひとなでして、
急いでバッグを持って家を出た。
〜･〜･〜
イナビカリ修練場に再び足を踏み入れる。
ここへは、豪炎寺君が遅れてやってきた。
「揃ったな、諸君。情報によれば、総理は謎の集団に連れ去られた
という……この謎の集団は、エイリア学園と関係があるようだ」
理事長が言った時、豪炎寺君が微かに反応していたのを、
私はしっかりと見逃さなかった。
けれど、ここでは問い詰めないようにした。
彼が私に、元帝国キャプテンだったことを問い詰めなかったように。
「出発よ。エイリア学園と、すぐに戦うことになるかもしれないわ」
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作者名：フェイル | 作成日時：2014年8月1日 0時
