第14話 SPフィクサーズ ページ14
「……とりあえず、君達の思うようにやってみて」
監督がそう言った時、
一度私と目が合ったような気がした。
「えぇぇ!?」
「そんなぁ!」
「……どうする?」
風丸君が守に聞く。
守は考え込むように唸っていたが、
そこに私が声をかけた。
「監督は私達がどんなサッカーをするのか見たいんだよ」
「あぁ、初めて指揮する試合だからな」
豪炎寺君も頷く。
そうとわかれば、守にもやる気が出て来たようだ。
「よし、やろうぜ! 俺達で戦い方を考えるんだ!」
「それじゃあ、フォーメーションはどうする?」
一之瀬君が聞くのに、
守が考えるようにして答える。
「うーん、まずは守備をかためて……」
「……いや、MFに風丸と土門二人をあげて、オフェンスを強化するんだ」
守の提案は、有人が否定した。
「攻撃型の布陣に?」
「こういう時こそ、先取点が大事なんだよ」
「そうか、守りに入っていては
点をとるチャンスも減るってわけか……」
私がフォローするのに、
風丸君も納得して頷く。
「あぁ。それに俺達のゴールはお前が守ってるんだ。
安心して攻撃に集中出来る……そうだろう、皆!」
有人が言ったのに、仲間達は一緒に頷いた。
成程、彼も既に立派な雷門の一員だったというわけだ。
「よし、みんな頼むぞー!!」
「「「おぉ!!」」」
「……AはFWに入るが、大丈夫か?」
ふと有人に小声で聞かれて、
私と彼は豪炎寺君を見ながら話した。
「……大丈夫だよ。試合と勝負は違うんだから」
俯きがちになりながら、私はそう答えていた。
試合中のピッチに、私情は持ち込まないと。
〜･〜･〜
センターマークにボールを置き、こちら側から試合開始。
ホイッスルが鳴って、皆が走り出した。
FWに入った私は、敵陣深く侵入しつつ
相手と仲間の様子を探った。
やっぱり、思った通り豪炎寺君はまだ大丈夫そうだ。
彼にとっての私が、ライバルという
立ち位置に不足があっただけで……。
いや、今は考えちゃいけない。
試合に集中しなければ。
〜･〜･〜
──上手くパスをつなぐのだが、どうもDFに攻撃を遮られる。
身をていして守るというのは、まさにSPの特徴だ。
染岡君がシュートを決めようと必殺技を打っても、
力強いキーパーが得点を許さない。
こちら側が攻めていたものの
キーパーがボールを止めた瞬間、一気に形勢が逆転した。
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作者名：フェイル | 作成日時：2014年8月1日 0時
