41話 ページ41
＊
「あ！Aと切島と緑谷来…た！？」
生徒の安否確認のためにゲート前にA組は上の3名を除いて既に全員集まっていた。完全に無傷の者は殆どいない。何かしら小さな傷や大きな傷を拵えたり、精神的にダメージを負ったりとしていたが生徒の中に命に関わるような怪我人は見当たらなかった。生徒の数を数えていた警察の塚内はホッと息を吐く。
芦戸の声を聞いてバッと振り返ったクラスメイトたちはなぜ芦戸が戸惑った声を出したのか理解した。緑谷がAにお姫様抱っこをされているのだ。緑谷は両手で顔を覆っており恥ずかしそうにしているがAはニコニコと動じていない。隣を歩く切島は緑谷を気遣ってか何か声を掛けている。
「なんでお姫様抱っこ…？デクくん足に怪我したんかな。」
「それならおんぶでよくね？」
「つか名字のヤツ王子様みてーだな……」
どこか面白がった空気が流れ始める。これこそがAの狙いだった。ほとんどのクラスメイトが不安や恐怖を味わっただろうと気遣い、緊張を解かそうとしたのだ。普通に運ぶのであれば麗日の言う通りおんぶでも良かったが緑谷は大切な犠牲だった。
自分も敵に襲われたというのに他人のことを考えアフターケアをするとは…とミッドナイトとプレゼントマイクは顔を見合わせる。
「みんな無事か！」
「そういう切島(お前)たちが最後だ。…ったくハラハラさせやがって！」
「緑谷お前お姫様かよ。」
「これはAくんが無理矢理……」
「文句なら後で聞くし俺も言う。とにかく今は治療な。」
クラスメイトたちに緑谷の無事を見せ、Aは塚内に「1年A組21名揃いました」と告げてから教師の指示に従って乗ってきたバスとは違う(恐らく教員たちが使用したものだ)バスに緑谷を連れて行く。運転手は既に言われていたのだろう。緑谷が乗車したことを確認するとすぐに発車した。
Aはバスを見送り再びゲート前に集合する。集団の最後尾にAが居ることに気付いた飯田が素早く駆け寄り緑谷の安否を尋ねた。飯田は応援を呼ぶために1人USJを出ており、脳無の恐ろしさを知らなかった。実際に見ていた麗日や芦戸からオールマイトと同等の力だったと聞き、そんな敵と対峙してたった1人保健室送りになった友達が心配で気が気でなかったのだ。それは飯田だけでなく、ほとんどの他のクラスメイトたちもまた緑谷を気にしていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 160人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
緑猫(プロフ) - 東雲さん» 大変遅くなりました…！コメントありがとうございます！そろそろ続編解禁ですね。不定期更新ですが気長にお待ちいただけると幸いです (2020年5月10日 20時) (
レス) id: 3889cacc49 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - お話の方とても面白かったです！続編の方楽しみに待ってます。 (2020年4月28日 17時) (レス) id: 69e2a17ecb (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - カナデさん» ご指摘＆コメントありがとうございます！申し訳ございません、修正させていただきました。飄々とした子を目標としているのでそう捉えられていてニヤニヤしております。不定期更新ですので気長にお待ちいただけると幸いです (2020年3月14日 21時) (レス) id: 3889cacc49 (このIDを非表示/違反報告)
カナデ(プロフ) - 23話が２つあって、24話が抜けてますよー笑。夢主くんかっこいいですね！いつも応援してます。更新頑張ってください！ (2020年3月14日 16時) (レス) id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - 黒武さん» ご指摘＆コメントありがとうございます！あまりのいい加減さに自分でも吃驚しています…修正させていただきました。お気に入り登録とても嬉しいです！！続編は50話まで解放した後下書きを外しますのでお待ちください！ (2020年3月5日 5時) (レス) id: 3889cacc49 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：緑猫 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?
作成日時：2020年1月10日 16時
