22話 ページ22
＊
「名字。」
帰り支度をしていたAの元に轟がやってきた。前日とほぼ同じ光景だ。教室に残っていたクラスメイトたちが反射的に2人を見るが、そこには止めなければなどの思いはなかった。だが1人、グループを組んだ障子だけは嫌な予感がしていた。
轟の呼び掛けにAは顔をあげずに短く「なに。」と呟く。予想と違いよそよそしい反応に切島はあれ？と疑問に思った。荷物を鞄に詰め終えたAだが、しかし今度はスマホを触り出す。
「今日の戦闘訓練、俺はお前に負けた。けど次は勝つぞ。」
「意味分からん、チームだったろ。なに勝手に負けた気になってんだ。」
「名字は訓練を訓練として見てなかった。俺…いや、このクラスの誰よりも先を見ているって今日気付かされた。それで、」
「わーったわーった。俺に負けないんだろ。」
長くなりそうな気がしてAは途中で轟の声を遮った。Aはちらりと席に座る爆豪を見る。身支度は終えているがどうやら待っていてくれるようだ。昨日のうちに掃除機をかけていて良かった。うちに寄っていくかは分からないがそうなったとしても問題ない。
24時間前は親の仇を見るかのような目で己を見ていた轟は、何があったのかそのオッドアイにはAに対する憧れが見え隠れしていた。十中八九午後の戦闘訓練だろうがNo.2の息子があんなことでそこまで見方を変えるのだろうか。Aは轟が全くわからなかった。だがAから轟に対する気持ちは変わらない。
「どうでもいい茶番だ。」
「ちょおおおおい待ち？なんでそうなった？今のは互いを認めあってライバルだと再認識する場面だろ！？」
「うっせー切島。帰る。」
まさかの展開に思わず静観していた切島が間に入る。どこかで見た光景だ。そのまま席を立ったAの肩を掴もうと切島が腕を伸ばすがAは最小限の動きでそれを交わし、切島の腕は宙を切る。
Aの帰る宣言が聞こえていた爆豪を伴ったAは、クラスメイトたちにまた明日と声を掛けながら出て行き、Aがこのような態度を取るのは轟限定だと証明されてしまう。残されたクラスメイトたちは恐る恐る轟を見た。
「なんでアイツはあんなに俺を嫌うんだ…？」
「？？？？？」
頭上にハテナを乗せた轟だが、それをしたいのはクラスメイトたちのほうだ。轟のガンギマリはまさかの無自覚。気を利かした切島が轟に声を掛けようとするが轟に切島は見えていなかった。
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緑猫(プロフ) - 東雲さん» 大変遅くなりました…！コメントありがとうございます！そろそろ続編解禁ですね。不定期更新ですが気長にお待ちいただけると幸いです (2020年5月10日 20時) (
レス) id: 3889cacc49 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - お話の方とても面白かったです！続編の方楽しみに待ってます。 (2020年4月28日 17時) (レス) id: 69e2a17ecb (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - カナデさん» ご指摘＆コメントありがとうございます！申し訳ございません、修正させていただきました。飄々とした子を目標としているのでそう捉えられていてニヤニヤしております。不定期更新ですので気長にお待ちいただけると幸いです (2020年3月14日 21時) (レス) id: 3889cacc49 (このIDを非表示/違反報告)
カナデ(プロフ) - 23話が２つあって、24話が抜けてますよー笑。夢主くんかっこいいですね！いつも応援してます。更新頑張ってください！ (2020年3月14日 16時) (レス) id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
緑猫(プロフ) - 黒武さん» ご指摘＆コメントありがとうございます！あまりのいい加減さに自分でも吃驚しています…修正させていただきました。お気に入り登録とても嬉しいです！！続編は50話まで解放した後下書きを外しますのでお待ちください！ (2020年3月5日 5時) (レス) id: 3889cacc49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緑猫 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?
作成日時：2020年1月10日 16時
