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【忘れてくれ頼む】







あっつい。
体が、熱い。

寝苦しさに目を開けると視界がぼんやりとしていた。
これは本格的に悪化するタイプの風邪だなと思った。
寝汗をかいたようで、ワイシャツが濡れては肌に引っ付いて気持ちが悪い。
…ワイシャツ脱ぐか。

ぼんやりとした頭でひとつひとつボタンを外していく。
ふと、視界に白いものがチラリと映った。



A
「……五条?」



五条
「………よぉ。」



私のベッドの横に椅子があって、そこに五条が足を組んで座っていた。



A
「…なんだ、五条か。」
「……………………五条!!??」



瞬間、ハッキリ目が覚めて自分の状態を自覚する。
服のボタンほとんど取ってる。
スカートとタイツはいつの間にか脱いである。

つまり、ほぼ下着姿状態。



A
「〜〜〜〜〜〜!!!!」



声にならない程の恥ずかしさに、急いで布団に潜り込んだ。
やばいどうしよう。
めっちゃ恥ずかしい。
完璧、醜態晒したよ。
五条に対して弱点自ら作っちゃったよ。



五条
「……あー、見てねぇから気にすんな。」
「お前の貧相な体には興味ねぇし。」



そう言う五条を布団から目元だけ出して見つめた。
よく見れば耳が真っ赤になっている。
これは見たな。
完璧見てるな五条くんよ。



A
「…………よく貧相って分かったな。」
「てか見といて貧相は失礼だろ五条。」
「つか何見てんだよ。」



五条
「…看病した事に対するお礼だろ?」



A
「違う。」
「お礼なら別のやるからアレは忘れろ。」



五条
「…忘れて下さい、お願いします。だろ?」



うわ、すっごい意地悪な笑顔してるコイツ。
私の事好きなんじゃないこの人。
これ好きな人に対する態度なのかなぁ???
マジでわからんよ五条。



A
「性悪…。」



五条
「あ?」



A
「なんでもない。」
「……五条、忘れて下さい、お願いします。」



五条
「そんで?見返りは?」



A
「え?えーと……私に出来ることなら何でも。」
「あ、婚姻届にサインは無理ね。」



五条
「じゃあ今度出かけんぞ。」
「それで忘れてやるよ。」



A
「…分かった。」



そんなことでいいのか。と、思ったが、嬉しそうな五条を見て口を閉じた。



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作者名:mito | 作成日時:2022年1月27日 2時

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