検索窓
今日:6 hit、昨日:4 hit、合計:110,804 hit

18 ページ18

【さよなら】







背を向け歩き出した夏油に、手を伸ばした。
夏油の手は酷く冷たくて、私に向ける視線も前とは違った。



夏油
「…離してくれA。



A
「………。」



夏油を前にして、言葉が出ない。
彼の目は、もう覚悟を決めた目だった。
私なんかが言葉をかけてもきっと何も変えられない。
夏油はもう、決めたんだ。

離したくない、行かないで、ここにいてよ。
皆で一緒にいようよ。
感情で頭がごちゃ混ぜになる。
なんて、なんて言えば良いんだろう。
何を言えば、夏油の心に響くの。

ふと、振り向いて五条を見た。
五条は、酷く悲しそうな顔をしていた。
それを見て、夏油にかける言葉が決まった。



夏油
「…A、そろそろいいかな。」
「邪魔するなら君でも容赦しないよ。」



A
「…皆でいる毎日が楽しかった。」
「ふざけて騒いで、遊んで、叱られて…。」
「本当に楽しかった。」
「夏油と一緒にいられて良かった。」
「…皆と、毎日過ごせて楽しかった。」



夏油
「……私もだよ。」



ギュッと手を握り返される。

夏油を応戦する言葉は言えない。
五条もその言葉は言えない。
その代わりに私が、五条の分もお別れを言う。


A
「元気でね、夏油。」
「……どうか、死なないで。」



夏油
「…ありがとう、A。」
「さよなら。」



握っていた手が離され、夏油は雑踏に消えていった。



A
「……っう。」



夏油の姿が見えなくなった瞬間、我慢していた涙が溢れてきた。

悲しい、寂しい、辛い。
夏油にこんな選択をさせた奴らが憎い。
色んな感情が溢れて来て、涙が溢れる。

地面に座り込んで泣きじゃくる私の背に五条の手がそっと触れた。



19→←17



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (275 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
603人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟 , 夏油傑
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:mito | 作成日時:2022年1月27日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。