39.168時間後 ページ9
私は自分の耳を疑った。
「大野さん?今、なんて言った?」
「Aちゃんを貰う許可を潤ちゃんに取ってるんだけど?」
大野さんの口がとんでもない発言をしていたのだ。
「昨日この子ね、失恋しちゃったんだって。相手ってその二宮和也なんでしょ?」
私がコクンと頷くのを見測って、大野さんは言う。
「だったら、恋が芽生えた悲しいこの場所から連れ出してあげる」
誰もが口を閉じた中、私の頬をツーと流れた涙が嬉し涙だと分かった。私を支えてくれようとしている人もいるんだと実感した。
「俺はAがそれを望むんだったら何も言わないよ。お前の目をそんなに腫れ指すような奴はやめといた方がいいって助言はしとくけど」
後押しさえも割れた心のスキマに入り込む。
オーナーらしい言葉だった。
ここを辞めるということは、和也さんを諦めるということ。
まだ、彼から別れを告げられるより前に消えてしまえるのならそうしたい。
傷が浅いうちにしておきたい。
もうこれ以上は、残酷な真実なんていらないよ…。
「1週間だけAちゃんに時間をあげるよ。だから、おいらの会社で働きながら少し考えてみて?」
穏やかな声と優しい眼差しがどうにも苦しい。
その苦しいのが、恋の苦しさなのか、彼から逃げる罪悪感からなのかはわからない。
「本日付であなたを雇います」
再び引かれる彼の温かい手が、私の手から心の奥に伝えられる。
君が選ぶべき人はきっとこの人だよ。
そう囁く私の中の別の私を、見ないように心の瞳をそっと閉じる。
傷ついた心が何処までそんなことをできるのか見当もつかないが、今すぐに大野さんの元へ行く準備は整っていない。
168時間後、和也さんのことを忘れられるように私は別の場所で働く。
好きな仕事を好きな人への失恋が原因で離れるなんて、今まで私に起こり得るなんて思いもしなかったが、考えられないケースではないと自分に言い聞かせた。
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光和(プロフ) - 櫻宮わかなさん» 櫻宮わかな様初めまして。ほじくり返せば彼らの隠し事がザクザク出てくる設定。間違っていません とも!ありがとうございます(*´˘`*)続編希望の声有難く頂戴致しまして視野に入れてみますね! (2018年4月6日 23時) (レス) id: 57f8bc9dac (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮わかな - ニノのミステリアスなところも 他メンがキーパーソンになっているところも(←違ったらすみません)面白かったです。 続編希望です (2018年4月6日 22時) (レス) id: 117e868e47 (このIDを非表示/違反報告)
光和(プロフ) - ライムさん» ライム様初めまして。ニノさんがミステリアスなのをいいことに、こんな仕掛けになっておりました。伏線はまいておいたつもりなので、驚いていただけて嬉しいです。更新頑張りますね!(p`・ω・´q) (2018年4月4日 9時) (レス) id: 57f8bc9dac (このIDを非表示/違反報告)
ライム - 話の急展開に驚いています。これからも更新楽しみにしてます。 (2018年4月4日 1時) (レス) id: f7d006b4ac (このIDを非表示/違反報告)
光和(プロフ) - ゆかりさん» ゆかり様初めまして。ニノさんへの愛の言葉をありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリこれからも本作品をよろしくお願いします。 (2018年3月25日 10時) (レス) id: 57f8bc9dac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:光和 | 作成日時:2018年3月24日 21時