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41.運命の前ぶれ ページ11

私の6日間を言い表すならそれはそれは恵まれた待遇だった。
櫻井さんに1から仕事を丁寧に教えてもらい、暇だと騒ぐ(全然暇ではない)大野さんと話して仕事が終わる。
朝は彼のおはようで始まって夜は彼のおやすみで1日が過ぎていく。

そのお陰で私は初日以来、泣いていない。

今日は最終日手前と言うことで朝から大野さんに呼び出されていた。


ドアをノックし、


「どうぞー」


とほぼ同時に入ってしまった。

なんとなく彼の返事のタイミングがわかったからだ。

チラッと私に視線を向けて


「おはよ」


寂しそうな表情を浮かべていた。


「おはようございます…」


私は全て明日には決めなくちゃならない。
ここで働くのか、花屋に戻るのか。

でも、ここで働くという事は


「明日、いい返事を待ってるから」


和也さんを忘れて


「おいらをAちゃんの心を埋める道具にしていいよ」


彼とそういう関係になるということ。

私は彼の瞳を真っ直ぐ見つめて、口を閉じ一礼のみしてこの部屋を出る。

この建物の構造をなんとなく理解していた私は、早歩きにも似た早さで来た道を戻る。

朝だというのに、泣きそうだ。
ここまできて泣くとかなんでなの…。


「おはようございます」


朝早くから働く清掃員さんに1つの挨拶を交わして俯きがちに通り過ぎようとすると


「待って!」


素早く腕を捕まれ拘束される。
パッと顔を上げて見ると、帽子を深く被ったこの人の顎に見覚えのあるホクロ。
抵抗する暇もなくそのまま知らない人に連れられた近くの会議室ような一室。
私はとてつもなく嫌な予感がした。


「なんでこんな所にいるの?」


それはこっちのセリフだ。

私は恐る恐る彼の帽子に手を掛ける。


「どうして…」


帽子を握った両手が震える。
やっぱりその人は和也さんだった。

42.清掃員は名探偵→←40.忘れるための偽恋



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光和(プロフ) - 櫻宮わかなさん» 櫻宮わかな様初めまして。ほじくり返せば彼らの隠し事がザクザク出てくる設定。間違っていません とも!ありがとうございます(*´˘`*)続編希望の声有難く頂戴致しまして視野に入れてみますね! (2018年4月6日 23時) (レス) id: 57f8bc9dac (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮わかな - ニノのミステリアスなところも 他メンがキーパーソンになっているところも(←違ったらすみません)面白かったです。 続編希望です (2018年4月6日 22時) (レス) id: 117e868e47 (このIDを非表示/違反報告)
光和(プロフ) - ライムさん» ライム様初めまして。ニノさんがミステリアスなのをいいことに、こんな仕掛けになっておりました。伏線はまいておいたつもりなので、驚いていただけて嬉しいです。更新頑張りますね!(p`・ω・´q) (2018年4月4日 9時) (レス) id: 57f8bc9dac (このIDを非表示/違反報告)
ライム - 話の急展開に驚いています。これからも更新楽しみにしてます。 (2018年4月4日 1時) (レス) id: f7d006b4ac (このIDを非表示/違反報告)
光和(プロフ) - ゆかりさん» ゆかり様初めまして。ニノさんへの愛の言葉をありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリこれからも本作品をよろしくお願いします。 (2018年3月25日 10時) (レス) id: 57f8bc9dac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:光和 | 作成日時:2018年3月24日 21時

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