２２.見えない ページ22
「朝帰りですか…」
大野さんが去って数分後。
和也さんが現れた。
「違います」
「クマあるのに？」
「違います」
ふーんと言いながらカウンターに座る。
本来、カウンターは私やオーナーが花を生けたり、お客様の要望を聞きながら花を作る時に使っている。
そう易々と座って貰っても困る…。
「今日はあれでいっか」
その呟きとともに、グルリと店内を見回していた動きが止まった。
カウンターに例の福沢諭吉を置き、彼はアネモネの花に手を伸ばす。
よりによって赤色だった。
花言葉は、君を愛す。
赤いアネモネが指す言葉は、私に現実を突きつけて来た。
また、彼の淡々とした態度もそれを強調させる。
「和也さん」
「ん？」
店内を出て行こうとしていた彼が振り返る。
その顔は至って普通の顔で、彼が何の感情も抱いてないことを裏付ける。
「お気をつけて」
「ん、ありがと」
彼が店を出てドアがカタンと音を立てて閉まる。
もう、私にはその音しか分からなかった。
視界が滲んでボヤけて彼の姿なんて捉えられない。そこにはいないという事実に胸が締めつけれられる。
*
*
*
*
*
*
「なんで泣いてるの？」
途端、ビクッと肩が上がる。
その反動で、目に溜まっていた涙がポロッと落ちて、いくらか視界がクリアになった。
帰ったんじゃなかったの？
腕組みして、ドアに寄りかかる彼は紛れもなく和也さんで、確認したら涙はポロポロと止まらなくなっていた。
なんで自分がこんなに泣いているのか分からない。
特別、悲しい訳でも、嬉しい訳でもない。
彼が私に近付いて涙を拭う為に、アネモネから手を離す。
その瞬間、私の中で何かがスッと溶けて、彼の手から伝わる体温に酷く安心した。
「そんな顔して何があったのよ」
覗き込まれる瞳に、私は逃れるように逸らす。
時間の流れがゆっくり流れているように感じた。
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光和(プロフ) - kah0july13さん» ありがとうございます。その時が来たらまたお知らせします！お話を進められるよう頑張りますね！ (2018年2月15日 23時) (
レス) id: 57f8bc9dac (このIDを非表示/違反報告)
kah0july13(プロフ) - 光和さん» ぜひぜひ二宮さんサイドよろしくお願いします！がんばってください！ (2018年2月13日 21時) (レス) id: a426a84b69 (このIDを非表示/違反報告)
光和(プロフ) - kah0july13さん» こちらこそはじめまして。照れながら読んで頂けて私も書きがいがあります！翻弄している二宮さんは罪な男です(*ﾉωﾉ)ｷｬ二宮さんサイドもまた面白いですよ( *´艸`)いつか書ける日が来たらいいなと思ってます。ありがとうございます。更新頑張ります！ (2018年2月13日 17時) (レス) id: 57f8bc9dac (このIDを非表示/違反報告)
kah0july13(プロフ) - (続けてすみません！)いつか二宮さんサイドでも書いてほしいなぁと勝手に思ってます(〃艸〃)ﾑﾌｯこれからの更新も楽しみにしてます！ (2018年2月13日 3時) (レス) id: a426a84b69 (このIDを非表示/違反報告)
kah0july13(プロフ) - はじめまして！いつも二宮さんの惚れっぷりに照れながら(←？)読ませていただいてます！私の中では初めて読むタイプの二宮さんで、｢何か裏が？それとも純粋に？｣なんて毎日ニノさんの心のうちを考えるのが楽しいです！ (2018年2月13日 3時) (レス) id: a426a84b69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：光和 | 作成日時：2018年2月5日 4時
