Dear honest ページ10
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「A、手紙が届いてるぞ」
組織壊滅から二年後、以前に比べ穏やかな日々を過ごしていたA宛てに一通の手紙が送りつけられた。
「手紙？」
彼女は怪訝な顔で零からそれを受け取ると、慎重な手つきで観察した。犯行予告などではなかろうかと疑っているのだ。
送り主の欄には何も書き込まれていなかったが、宛先は「Dear honest」と筆記体で記されている。
「誰からだろう、心当たりはないのか？」
そんなのないと言おうとして、Aは戦慄した。すっかり忘れていたが、こんなことをやりそうな人物がいることを思い出した。
「あー……なんとなくは」
「知ってる相手か？」
「ええ。だから、そんな顔しないで」
凛々しい眉を下げて不安そうな表情をする零の頬に、彼女はそっとキスをした。彼もお返しのように軽い口付けを唇に落として言う。
「心配なんだよ」
彼の言葉に微笑んだAはペーパーナイフで手紙の封を切り、中身を取り出した。やはり英語で書かれている便箋と凝った装飾のクリスマスカードだった。
『元気にしてる？
結婚おめでとう、早く教えてくれていたら式に駆けつけたのに。
こちらはとてもいいところよ、私は海はあまり好きでないのだけど。
よいクリスマスを。xxx
C,V』
読み終えたAは思わず鳥肌が立った。結婚したことなど教えたはずはないし、そもそもなぜ住所が彼女に知れているのか分からない。
そういえば、確かに二年前に気が向いたら手紙を送るとは言っていた。しかし当然ながら、完全なる冗談だと思っていたのだ。まったく、気まぐれにもほどがある。
「ベルモットだろ、それ」
いつの間にか背後にいた零がカードを覗き込んでいた。心臓がどきりと跳ね、思わず動揺する素振りを見せてしまう。
「いや、これは……」
「問題ない、奴は米国で司法取引が済んでいる」
慌てて弁明しようとした彼女に零はコーヒーをすすりながら答え、意外そうな口調で言った。
「住所を教えたのか」
「そんなわけないでしょう」
「相変わらずみたいだな」
頭を抱えたAの答えに彼は呆れた顔をした。クリスマスカードを自ら手に取り、しげしげと眺める。
「別に、クリスマスだからといって何か特別なわけでもないのに」
零の言葉にAは不満げに整った眉を寄せて、納得のいかない表情で口を開く。
「そんなことはないさ」
作者の勝手な裏設定
降谷さんはクールで言葉足らず気味。
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長谷夏子(プロフ) - 笑福さん» コメントありがとうございます。とても励みになります。結末に向けてラストスパートをかけていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 (2018年11月10日 16時) (
レス) id: 19bd7edd69 (このIDを非表示/違反報告)
笑福(プロフ) - 再びコメント失礼致します。やはり長谷さんの書く小説は引き込まれる内容でとても面白いです!続き頑張ってください。最後までお付き合いします\( *´ω`* )/ (2018年11月10日 14時) (レス) id: ada93b3781 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長谷夏子 | 作成日時：2018年10月18日 19時
