右腕の男 ページ2
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「しかし……風見には世話になりっぱなしだ」
降谷の言葉に、秋葉も深く頷く。
「ああ。本当に、彼は出来る男だ。私の自慢の部下さ」
感嘆と誇りの混じった口調に、降谷は少々不満げな顔つきになった。
「風見は僕の右腕だが」
「私の部下でもある」
さらに降谷が口を開きかけたとき、扉が軽くノックされた。立っていたのは、まさに話の種になっていた、風見祐也だ。
「失礼します、お二方」
会釈をした風見に、二人は視線を交わしあった。
「風見」
「いいところに来た」
困惑した表情を浮かべた風見は、不穏な空気を察知しながらもベッドに近付くと、秋葉の隣の椅子に腰を下ろした。
「あ、あの……」
「ちょうど、君について話していたところなんだ」
風見は訳が分からないといった様子で、降谷に聞き返す。
「私、ですか」
「そう。あなたが来なければ、もめていただろうね。危ないところだった」
「……それはよかったです」
微妙な顔をして頷いた風見に、降谷は単刀直入に尋ねた。
「風見。君は僕と秋葉、どちらが好きなんだ？」
「……はい？」
降谷にしてはあまりにも間抜けで、意味の分からない質問だった。だが、本人は至って真剣な上、秋葉の方も真面目な顔で風見を見つめている。
「おっしゃっている意味が、よく分からないのですが」
「何を言っているんだ、風見くん。単純明快じゃないか。私と降谷、どちらが好きかと訊いているんだ」
上司として、と秋葉は付け足した。
なるほど。風見は大まかな状況を把握することが出来た。どうやらこの二人は、自分を取り合っているらしい、というあり得ない状況が。
「……お二人とも尊敬しています」
しかし、二人に優劣などつけようもない。この言葉は事実だったが、表情からして、二人はあまり納得していないようだった。
「あなた方は、この国になくてはならない存在だと、私はそう思います。その点において、お二人のどちらが好きかということはありません」
自分より年下で上司。そんなことは気にはならなかった。
「……お二人とも、好きです」
風見がそう言った途端に二人が笑いだしたので、彼は繕うことも忘れて焦ってしまった。
「風見は素直だな」
「まさか、本当に言ってくれるとは思っていなかったよ」
彼らは、これまで風見が見たこともないような穏やかな表情をしていた。
「ありがとう、風見」
「助かった。いろいろ迷惑をかけたな、ありがとう」
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作者の勝手な裏設定
降谷さんはクールで言葉足らず気味。
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長谷夏子(プロフ) - 笑福さん» コメントありがとうございます。とても励みになります。結末に向けてラストスパートをかけていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 (2018年11月10日 16時) (
レス) id: 19bd7edd69 (このIDを非表示/違反報告)
笑福(プロフ) - 再びコメント失礼致します。やはり長谷さんの書く小説は引き込まれる内容でとても面白いです!続き頑張ってください。最後までお付き合いします\( *´ω`* )/ (2018年11月10日 14時) (レス) id: ada93b3781 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：長谷夏子 | 作成日時：2018年10月18日 19時
