【オリジナル】ロイヤルオリオン (ページ28)

今日:17 hit、昨日:0 hit、合計:5,818 hit

. ページ28

.

「なっ…どうしたんだよ。何で…」

「嘘、なの…」

「え？」

「その話、全部…嘘なの…」

「は…」

耳を疑った。嘘。
俺が信じた髙木撫子という女は作られたものだったのか。
でも、怒りは感じなかった。
呆れもしなかった。
そんなことは俺の気持ちに関係ない。
髙木は泣きながら話し続ける。

「本当は私、みんなから、死ねって言われてここに来てるの…！父親が犯罪者で、母親は死んだわ。だから…私を、愛してくれる人なんていないのっ…」

アンタのことを愛してるやつ、ここにいるじゃん。

俺は、アンタが好きだよ。

言いたい。すげぇ言いたい。

今すぐアンタを抱きしめたいよ。

なのに、喉の奥で引っ掛かって言葉にできない。

「髙木…」

「日本に帰ったって、苦しいだけだもん…だったらいっそ…死にたいよ」

「っ…！！」

そんなこと言うなよ。アンタは俺が最初に愛した女だぜ。
きっとこれからも、アンタ以外愛せる女なんていねえよ。

「アレン君、でも私、ここに来て良かったって思ってる…ありがとう」

そう言って高木は急に立ち上がったと思うと自分の部屋の方へ走っていった。

「髙木っ！？」

ドアを叩いて叫ぶ。

「髙木！！おい！どういう意味だよ！！」

返事はなかった。そこにいる気配すらなかった。

「髙木…？」

ドアノブに手をかけると開いた。鍵はかかっていなかった。
窓が開いている。

嫌な予感がして、俺も窓から抜け出し髙木の後を追った。