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「お、お待たせしました…」
「ああ」
私服に着替えて講堂で待ち合わせた。
「男の人と出かけるの、あんまり慣れてないんだよね…どんな服着ればいいかわかんなくて…」
何だよ。結構可愛いじゃん。
「…じゃあ行くぞ」
「うん」
「そういやアンタさ、なんでここに来たの？」
「え？」
俺はまだコイツがどんな理由でここに来たのか聞いていなかった。
「……あ、まだ言ってなかったね。本当は私が来るはずじゃなかったんだよね」
「は？」
「あ、うん。私の友達が、来るはずだったんだけど、来るのが嫌だからかその子、妊娠しちゃったんだ」
困ったような笑みを浮かべた。
久しぶりに笑顔を見た気がする。
「で、やっぱり可哀相でしょ？だから、私が代わりに行くって言ったの」
「へぇ…すげぇな」
「え？」
内心、憧れはしないが、尊敬に近いものがあった。
「……俺だったら、そんなことできねえな」
「あ…べ、別にさ、そんなすごいことしてないから……」
褒めたはずだったが、�睫擇浪兇�ら目を逸らした。
照れてんのか？
「あ、それよりさ。アンタ、どっか行きたいとこある？」
「行きたいとこ…どこでもいいわ。こうして、一緒に行けるだけでいいから…」
「え…」
「あっ…！ち、ちがっ…じゃ、じゃあ…お茶でも飲みに…」
「…わかった」
俺の聞き間違いじゃなければ、一緒に行けるだけでいいから、そう聞こえた。
もしそう言われたとしたら、嬉しい。
もうさ、やっぱり、彼氏いないなら俺にしとけよ。
別に、アンタだったら構わないぜ。
そんなこと言えるはずないし、無理だろうよ。アンタに好きな人がいようがいまいが、俺じゃ無理だ。
大体、俺は恋愛なんてどんなものかわかんねえし、俺がこいつのことを好きなのかそうかもまだ、わからねえんだ。
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