体育祭見物後半。(ほぼ余談) ページ9
死柄木弔の可愛い鼻歌を堪能した後ちゃんと任務に戻った。
アタシが20回ぐらい繰り返して聞いている間にもう次の競技に入ってた。
何これ、借り物競走？
つまらないものを見せないでよね、お子様のお楽しみ会じゃないんだから。
「はぁ……」
優の姿が見える。
キラキラ笑って馬鹿みたい。
昼休みを挟んで、最終競技があるらしいけど正直もうこいつらのヒーローごっこには付き合ってられない。
「まぁでも…任務だし？」
死柄木弔の頼みなら最後までやらなきゃね。
それにしてもまぁ……みんな楽しそうねぇ。
死柄木弔とだったら、一緒にやりたいかも。
あぁいけない。ヴィランが何考えてんだろ。
そうよ、アタシはヴィラン。
死柄木弔の、駒。
大丈夫、これが幸せだから。
ぐぅ、とお腹の鳴る音がする。
「お腹減ったなぁ…」
お昼休みなんだから別にいいわよね。
近くのコンビニで何か買っちゃおう。
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弔side
「……緑谷、出久……」
あぁこの餓鬼気に入らない。
本当は今すぐぶっ壊してやりたいところなんだが。
まだ、その時じゃあない。
「……あいつ、ちゃんと見てるのか？」
業はヒーローについての知識が無いに等しいから途中で飽きて帰ってくるかもしれない。
生でちゃんと見て来れるのは見た目が普通なあいつだけだからしっかり見てきてもらわないとなぁ。
先生の声が頭の中でフラッシュバックする。
『君は僕の後継者だ』
『色恋に溺れるのは愚かなことだよ』
そんなことは、わかってんだよ、先生。
だけどあいつが俺の隙間にまで入り込んでくるんだよ。毎回気持ちが奪われそうになるんだよ。
じゃあ先生教えてくれよ。
そういう時はどうしたらいいのかを。
前から思っていたんだけど、あいつは俺のどこを見てかっこいいと言ったんだろう。
好きなのはわかったそれはいい、俺の見た目までもかっこいいと言うがそれはどこを見てだ？
「…あいつの神経がわからん」
社会の流行りに疎いのは勿論、何がかっこいいかを表す定義すらわからないし。
「あー…本当わからない」
好き、素敵、ヤバい、かっこよすぎ、etc…
あいつからの褒め言葉は沢山聞いた。
少々むず痒いところもあるが慣れてきた。
俺って、かっこいいんだろうか。
「こんなこと考えてる場合じゃないんだよ…」
ムカつくあの案件を何とかしないと。
先生が言うなら仕方ない。
黒霧も入れろとかうるさいし。
「はぁ…ヒーロー殺し…ステイン…」
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