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約束の日。 ページ6

アタシはずっと待ってた。

すごくすごく待ち遠しかったこの日。

3月9日。桜の蕾が出始めた頃。

卒業式を終えた後、クラスの連中はどっかにみんなで出かけたようだけど。
そんなクソみたいな戯れをするよりもアタシにはこっちの方がずっと大事なの。
親もいない卒業式を終えた後急いでこの場所に向かった。


覚えててくれているのかしら。
約束を守ってくれるのかしら。

だけど待ってるって言ってくれた。


生暖かい風が吹いているはずの空気が揺れて
一瞬背筋がヒヤリとするような
肌寒い風が頰に触れた。



「来て…くれたのね」

「迎えにくるって言ったろう」

アタシは後ろを見ずにでもすぐにわかった。

「死柄木…弔」

「…行こうか…業(カルマ)」

心臓が握りつぶされる。

アタシの名前を呼んだ。死柄木弔が呼んだ。
ドバドバと脳内でアドレナリンがどんどん出てくる。

彼はアタシに左手を伸ばした。
そしてアタシの髪に触れた。
固まってしまって動けない。

「ッ…」

反射的に身体が痙攣する。

頭の上から彼の手が輪郭をなぞるように滑りながら降りてくる。
彼の顔は見れない。

彼の身体がこんなにも近いところにある。
耳に触れる息。
死んでしまいそう。

後ろからフッと息を吐いたように笑った声が聞こえた。

それから髪から肩に腕を移して
アタシの肩を抱く。

「ヴィラン連合って知ってるだろう?お前はその一員になってもらう」

「あ、あなた…ヴィランの人だったのね…」

「あぁ、怖い?」

「いいえ…」

彼はアタシの顔を覗き込んで
ニヤリと口を横に結んだ。

恐ろしい表情なはずなのに、あまりにも魅力的すぎて甘い声が出てしまう。

彼はそんなアタシを見て、満足したように笑って、知らない男の名前を呼んだ。

「黒霧、ワープゲートだ」

返事は返って来ず、代わりにあの日見た黒い何かが現れた。


死柄木弔に連れられるまま、アタシはその中に吸い込まれていった。

本当の仲間。→←それから。



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設定タグ:ヒロアカ , 死柄木弔 , 僕のヒーローアカデミア   
作品ジャンル:アニメ
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JACK(プロフ) - 梨杏@ウオタミさん» コメントありがとうございます!!夢主との関係上個人的には20〜22あたりまでであってほしいと思っています!頑張りますありがとうございます! (2017年6月10日 20時) (レス) id: 31809ece97 (このIDを非表示/違反報告)
梨杏@ウオタミ(プロフ) - 弔さんの年齢気になりますよね!!更新頑張ってください!待ってます。 (2017年6月10日 19時) (レス) id: 91efdc15d9 (このIDを非表示/違反報告)
JACK(プロフ) - RYEHLさん» ありがとうございます!その言葉すごく嬉しいです!!これからもよろしくお願いします!! (2017年6月4日 17時) (レス) id: 31809ece97 (このIDを非表示/違反報告)
RYEHL(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください( ̄▽ ̄) (2017年6月4日 17時) (レス) id: 6917c8daac (このIDを非表示/違反報告)
JACK(プロフ) - あのちゃむさん» ありがとうございます。弔さん口調が定まりませんが頑張ります! (2017年6月3日 18時) (レス) id: 31809ece97 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:JACK | 作者ホームページ:ないでござる  
作成日時:2017年5月31日 23時

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