これから�Α�(夢主side) ページ43
アタシが死柄木弔に"ハグ"のお願いをすると、絶対断られると思っていたのに、彼は渋々了承してくれた。
どうしよう、心臓が痛い。
今、彼に抱きしめられるのだと思うと全身が緊張と歓喜で震える。
嬉しくて、嬉しくて、顔のにやけが抑えられない。
死柄木弔はアタシを「気持ち悪い」と罵倒したけれど、今はそんなのも気にならないし寧ろ嬉しい。
「弔君、来て！」
なんだ、アタシもまだまだ子供だなぁ。
そう思ってしまっている自分が笑える。
「あー…はいはい…」
気怠そうに、めんどくさそうに、けれどしっかりアタシの身体を両手で抱え込む。
ぎゅ、と目を瞑る。
すぐ側に彼の顔があると思うと直視できない。
煩い、心臓。
時折、息が耳にかかる。
ぴくり、と自分の身体が反射的に動いた。
すごくすごく、すごく幸せで、声を出して笑わずにはいられない。
「ふふ、ふふふ」
自分でも気持ち悪いって思うぐらいなんだから当たり前か。
死柄木弔に案の定、気色悪いと言われる。
言い返して、幸せだ、そう思いながら死柄木弔の胸に顔を埋める。
「っ…」
死柄木弔はアタシの頭上で喉を鳴らした。
「弔君、好き」
好き、大好き。
愛してる。
どんな言葉でも言い表せない、こんな幸せな気持ち。
「知ってる…」
死柄木弔はアタシに手を回したまま小さな声で言う。
ドクン、ドクン、と心臓から血が送られてくる速度が速くなる。
内側から鳴り響くその音はアタシの耳にしっかりと届く。
死柄木弔にも聴こえてるはずね、それでもしょうがない。
スゥ、と彼の胸の中で息を吸う。
これが、死柄木弔の匂い。
血の匂いと錆びれた鉄の匂い。
それから危険な、犯罪者の匂い…
掻き毟った傷が痛々しく残っている、彼の妖艶な首筋を見つめる。
青白くて、細くて、血管が浮き出ている。
「弔君…」
彼の胸から顔を上げて顔を見つめる。
唇は上唇が極端に薄くて、下唇も裂けている。
目の周りは皺と傷で醜い。
けれど、紅蓮に輝く瞳に引き込まれそうになる。
そう、それもいつものことだけれど、今日は一層綺麗で息が詰まる。
「…業」
死柄木弔がアタシの名前を呼んだ。
「え…」
死柄木弔の顔が真っ赤に染まってて恥ずかしそうに唇を噛んでいた。
キュンとなる。
「…長い。離れろ」
ぶっきらぼうにアタシの肩を押して離れ、ポケットから赤い顔を隠すためか、手のマスクを取り出して着ける。
そっから死柄木弔は無言になって、場が気まずかったのか黒霧を呼んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 102人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
JACK(プロフ) - 梨杏@ウオタミさん» コメントありがとうございます！！夢主との関係上個人的には20〜22あたりまでであってほしいと思っています！頑張りますありがとうございます！ (2017年6月10日 20時) (
レス) id: 31809ece97 (このIDを非表示/違反報告)
梨杏@ウオタミ(プロフ) - 弔さんの年齢気になりますよね！！更新頑張ってください！待ってます。 (2017年6月10日 19時) (レス) id: 91efdc15d9 (このIDを非表示/違反報告)
JACK(プロフ) - RYEHLさん» ありがとうございます！その言葉すごく嬉しいです！！これからもよろしくお願いします！！ (2017年6月4日 17時) (レス) id: 31809ece97 (このIDを非表示/違反報告)
RYEHL(プロフ) - とても面白いです！更新頑張ってください(￣▽￣) (2017年6月4日 17時) (レス) id: 6917c8daac (このIDを非表示/違反報告)
JACK(プロフ) - あのちゃむさん» ありがとうございます。弔さん口調が定まりませんが頑張ります！ (2017年6月3日 18時) (レス) id: 31809ece97 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
