これからぁ(死柄木弔ラッシュ) ページ40
先生との会話を早々と無理矢理打ち切ってバーに戻る。
そこには疲れたのか、ソファでぐっすり眠る業がいた。
その隣には黒霧。
毛布をかけてやるところだったようだ。
「おい、何してんだ黒霧」
「死柄木弔、帰ってきたのですね」
舌打ちをする。
「聞いたことは答えろ。何でそんなことしてる」
「見たまま、彼女に毛布をかけようとしているところで…何故と言われましても眠ってしまった女性が風邪をひかないようにするのは普通なのでは?」
「…余計なことをするな…」
ズキリ、と傷が痛む。
何だよこれはムカつく、イライラする。
「死柄木弔…貴方は…」
「出ていけ」
「は?」
「この場所から出ろ…先生からの…」
黒霧は黙ったまま頷き俺の言う通りにした。
2人残される。
もっと溺れさせる、もっともっと…
「…そんなの、どうしたらいいんだよ…」
俺の呟きに、業は瞼を動かした。
そっと頰に触れてみる。
「ん…」と声を出して寝返りをうつものの、起きようとはしない。
「なァ…お前は俺のどこが好きなんだ?」
「お前は、どうして見返りを求めない?」
「…お前は…俺の何、なんだ…」
最後の問い掛けは、声が掠れて、自分の耳にすら届かなかった。
俺のこのムカつきなんかには関係ないと言うように業は眠っている。
「もっと溺れろだってさ…お前、どうなんだ?」
業の髪に指を絡ませる。
スルリと通り、甘い匂いを漂わせる。
むせ返るようなその香りに息を止めた。
「…業、お前、どうして愛なんて感情わかるんだ」
あァ、さっきから質問ばっかりだな。
それなのにこいつは答えない。
何で、何で。
そんな疑問詞しか発せない俺に腹が立つ。
「…どこが好きとかじゃないわ、弔君を好きなだけで幸せなの、アタシはあなたのただの駒よ」
「は…」
うっすらと瞼を開けて、業は俺を見て答えた。
問い掛けの全てにひとつひとつ答えた。
「ごめんなさい弔君。途中から聞いてた」
ぺろっと舌を出してイタズラな笑みを浮かべる業。
「は、お前ぶっ壊す…」
「うん、いいわね。弔君に壊されるなら大歓迎」
「はぁ…」
ケラケラと無邪気に笑う業に調子が狂う。
「それで…愛なんて感情わかるんだって言ったけれど、この人を狂いそうなぐらい愛してるって本当に思ってるだけで、理解するものじゃないわ。感じるものよ」
ウインクをして俺の胸を指でツンと押す。
「…そうか」
胸の奥のざわめきが何なのか、理解するのはまだ先のことだった。
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JACK(プロフ) - 梨杏@ウオタミさん» コメントありがとうございます!!夢主との関係上個人的には20〜22あたりまでであってほしいと思っています!頑張りますありがとうございます! (2017年6月10日 20時) (レス) id: 31809ece97 (このIDを非表示/違反報告)
梨杏@ウオタミ(プロフ) - 弔さんの年齢気になりますよね!!更新頑張ってください!待ってます。 (2017年6月10日 19時) (レス) id: 91efdc15d9 (このIDを非表示/違反報告)
JACK(プロフ) - RYEHLさん» ありがとうございます!その言葉すごく嬉しいです!!これからもよろしくお願いします!! (2017年6月4日 17時) (レス) id: 31809ece97 (このIDを非表示/違反報告)
RYEHL(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください( ̄▽ ̄) (2017年6月4日 17時) (レス) id: 6917c8daac (このIDを非表示/違反報告)
JACK(プロフ) - あのちゃむさん» ありがとうございます。弔さん口調が定まりませんが頑張ります! (2017年6月3日 18時) (レス) id: 31809ece97 (このIDを非表示/違反報告)
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