これから�◆� ページ38
嫌そうな顔ををする死柄木弔を引っ張って、とりあえずはあまり汚くないところに黒霧に連れていってもらう。
「本当に大丈夫なんだろうな。手が壊死するとかないだろうな。俺の個性は手が死ぬと死ぬからお前絶対何とかしろよ？」
「はいはい静かに。傷に触るわよ。じゃあ麻酔から入ります。眠らせたりはしないからちゃんとその目でアタシのオペを見ててね？」
死柄木弔の服を脱がせる。大丈夫上だけだから。
露わになった細身の身体にしなやかに付く筋肉。
肌色が悪いところと何箇所かある傷が彼の美しさを引き立たせていた。
「…っはぁ…綺麗…」
「お前いちいちそういうのやめろ」
「ゴメンナサイ」
麻酔を注射器で死柄木弔の腕に打つ。
まずは埋め込まれている銃弾を取り除く。
まぁよくもこんな大きい銃弾が埋まっていた状態で会話できたわね。
死柄木弔の精神力に舌を巻く。
簡易オペだし何針か縫うだけでいいか。
「じゃあ縫っていくから」
死柄木弔は黙って自分の肌に針が刺さるのをジッと見ている。
「…大丈夫よこれぐらい失敗しないわ」
「うん…あー…なんか変な感じだな。なんかこう…腕が…モゾモゾ？…ゾワゾワ？する」
「それよくわかんないけど麻酔だと思う」
それから足ともう一方の腕にも麻酔をして針を縫い終えた。
消毒、と称してエタノールを傷口にぶっかけた。
「これでよし。あと包帯グルグルにすれば治るわよすぐ」
「本当かぁ？随分早いな、大丈夫なのか？」
「当たり前じゃない」
死柄木弔は「ふーん…」と疑っているような目をまだやめない。
「ほらほら、終わりだから、もう行っていいわよ。黒霧さんは大丈夫？」
「私は大丈夫です」
「そう、よかったわ」
「…叢雲業は、そのようなことも出来るのですね。若いながら素晴らしい才能をお持ちです」
思ってもいない言葉だった。
思わず口を手で押さえる。
「黒霧さんったら、やめてよ…！」
「そうだ黒霧。あんまり言うと調子乗るぞ？」
不機嫌そうに包帯グルグル巻きの死柄木弔が黒霧を睨む。
「いえ、まだ16だというのに、強く、賢く、残虐で、そして美しい。ヴィラン連合には貴女が必要ですね」
「ど、どうしたの？黒霧さん。今日おかしいわよ」
「いえ、改めて素晴らしいお方だと再認識しただけです。お気になさらず」
そんな謙虚にアタシを褒める黒霧を黙ったまま睨み続ける死柄木弔。
どうして怒っているんだろうか。
「さ、オペは終了。次の襲撃の作戦立てなきゃね」
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