あなたとの出会い。 ページ3
中学3年生の冬。
アタシの地域はあまり雪が降らない。
あまり厚くないコートにマフラーを着けて歩いてた。
周りの連中は受験のためって言ってオベンキョウ。
身寄りのないアタシはどっかの高校に行こうとか思えなかった。
もちろんヒーローなんかにはなりたくない。
でも、他の職業に就きたいとも思ってなかった。
先生もアタシなんかには決まり切った対応をしてそれ以上のことは聞いてこないし。
「あー、暇。これからどうしよう」
暇潰しに近くの空き地の木を個性で枯らしていると
「へぇ…なんだその個性。ハハッ…すごっ…」
後ろ…いや、上から聞こえるような気がして顔を上げた。
「…誰」
「さぁ誰でしょう。あーあ。植物が枯れちゃってるなぁ…これ、なんて個性?」
「…見ての通りじゃない。毒だけど」
私より年上で細身の不気味な雰囲気の男が塀の上にいた。
「ねえ、教えなさいよ。誰なの」
「お前の個性はぜんっぜんヒーローには向いてないねぇ」
男はニヤニヤしながら言った。
真っ黒いフードから覗く口元に悪寒が走って
だけど同時に心地よくも感じた。
「…ありがとう。そう言ってもらえて光栄だわ」
負けじと微笑む。もちろん口元だけで。
男は瞬きを何回か繰り返した。
「なんだお前…ヒーローになるつもりないんだ」
つまらなそうにそう言いまた付け足した。
「ヒーローになりたいとか言ったら壊してやろうと思ったんだけど…」
壊す。壊す。壊す。壊す。
いい響き。
もうこの男が誰かなんて関係ないって思った。
「あなたいい性格してるわね。ヒーローが嫌いなの?」
「そりゃあもちろん大嫌いだ。ヒーローなんてものはただの偽善者で、無意味なことをしていて、笑って人を殺して人に喜ばれて…異常だとても異常」
饒舌にヒーローへのダメ出し。
こちらが圧倒されてしまった。
「その通りね。偽善者。アタシもそう思う」
久しぶりに胸が踊った。
鼓動が速くなって頰が紅潮する。
彼の言葉全てが私の耳を、心を、身体を癒した。
あぁなんて気分がいいの。
「私ね、ヒーローへの冒涜を聞いている時が1番幸せなの」
「ハハッ…お前面白い性格してるなぁ…気に入ったよ。名前は教えてやろう。とりあえず、俺は死柄木弔」
死柄木弔。
「いい名前ね…私は叢雲業」
「へぇ…」と死柄木弔は口元を緩めた。
これが死柄木弔に初めて会った日。
15歳の冬。
そして
彼に惹かれた日。
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JACK(プロフ) - 梨杏@ウオタミさん» コメントありがとうございます!!夢主との関係上個人的には20〜22あたりまでであってほしいと思っています!頑張りますありがとうございます! (2017年6月10日 20時) (レス) id: 31809ece97 (このIDを非表示/違反報告)
梨杏@ウオタミ(プロフ) - 弔さんの年齢気になりますよね!!更新頑張ってください!待ってます。 (2017年6月10日 19時) (レス) id: 91efdc15d9 (このIDを非表示/違反報告)
JACK(プロフ) - RYEHLさん» ありがとうございます!その言葉すごく嬉しいです!!これからもよろしくお願いします!! (2017年6月4日 17時) (レス) id: 31809ece97 (このIDを非表示/違反報告)
RYEHL(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください( ̄▽ ̄) (2017年6月4日 17時) (レス) id: 6917c8daac (このIDを非表示/違反報告)
JACK(プロフ) - あのちゃむさん» ありがとうございます。弔さん口調が定まりませんが頑張ります! (2017年6月3日 18時) (レス) id: 31809ece97 (このIDを非表示/違反報告)
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