毒と痛みと愛情と。【死柄木弔】

大切な日。 ページ12

「んっ…あっ…ふっ……」

「っはぁ…」

何度も何度も。

何度も唇を重ねる。

時折鳴る、くちゅり、という音に
アタシの身体は反応してしまう。

あれから何度も妄想でしてきたこと。
実際は快感に脊髄反応しまうだけで、ロマンチックとなんか呼べるようなものじゃなかった。

「んっ……死柄木…弔っ…」

涙目になりながら彼の胸を押す。

彼はそれを受けて口を離した。

ツーっと糸を引く唾液を乱暴に拭って
フードを引っ張って顔を隠す。

そしてすぐにアタシを置いて部屋から出て行ってしまった。


「……」

嫌いな物を壊したり、彼の恐ろしい表情を見たりした時とは違った快感。

これが、純粋な快感。

そして今までのは歪んだ快感。

どっちにしてもアタシにとっては気持ちいい。

彼の唾液がアタシの口の中に残っていると思うと興奮する。

「ふふっ…」

自然と頰が緩んで笑みがこぼれてしまう。
好きな人と初日からこんな素敵なことができるなんて。
思考がふわふわしてきて今度こそ避けられない眠気に襲われる。

今日はアタシの大切な日。
ヴィラン連合加入
死柄木弔の側にいられることが決まった
そして、口付けした
そんな大切な日。
彼がアタシを心から愛してくれなくても構わない。
追いかける幸せを知ってるから。

そのままアタシは目を閉じて眠りに落ちた。









『麗音君、好き』

『…どういうつもりだ…』

『え…？』

『お前、優の親友なんだろ。それなのになんであんなことした…』

『ちょっと待って、今はそんなこと言ってるんじゃないわ。アタシはあなたが好きって言ってるのよ』

『ふざけるなよ。自分の仲間傷つけた張本人に好きって言われて嬉しいやつがいるか？』

『な、何を言ってるの…？』

『お前みたいな平気で酷いことをするようなイカれた最低なやつにそんな言葉をかけられるなんて不愉快だ』

『…は…何…』

『みんなで優を守るヒーローになる。お前がどんなにあいつを傷つけようとしても俺たちが…』

『黙れ！！！！！』









叫び声をあげて起きた。

今のは、昔の記憶。

トラウマなんかになってたわけじゃないのに。

あんな男もう興味ないはずなのに。

あぁもぅ…ヒーローなんて言葉聞きたくなかった。

真っ暗な部屋に誰もいない。

大きく息をついてまた寝た。









麗音と優という名前が出てきましたが以前言っていたオリキャラです。後にキャラ設定を説明します。これからもよろしくお願いします。

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