自覚 (夢主sideに戻る) ページ38
「っ…」
私は廊下を歩いていた。
まだ心臓がバクバクしている。
「うぅ…顔熱い…」
心操君の手、何気初めて握ったぁ…
あんなこと勢いでやっちゃったけど、心操君は何とも思ってないのかな。
少し、ドキドキしてくれてればいいな、なんて…
「そんなわけないっ！」
廊下は思ったよりも自分の声が響いて、誰もいないのに恥ずかしくなった。
でも、この気持ちは認めなきゃいけないのかな。
映の言った通りだったのかな。
「私…心操君が好きなのかな…」
その自覚は、ドキドキと不安をいっぺんに持ってきた。
.
「おかえり、優。どうだった？」
「……うん」
「いや、うんじゃなくてさ」
「……うん」
「……どうしたの？」
「……うん」
何を言われても、頭に入ってこない。
映には、こりゃだめだ、と言われてしまった。
「ね、優。心操君と何してきた？」
「……うん……え！？何って何！？何にもしてないよ！？頑張れって言って…おまじない…おまじなっ…何にもしてないよっ！？」
私の慌てぶりに映は、驚くけど、あぁなるほど、と合点がいったように頷いた。
「うん、とりあえず落ち着こうか。はい、深呼吸」
映に言われた通り、息を深く吸って、たくさん吐き出す。
「で、どうしたの？」
ようやく落ち着いた私は、ゆっくりだけど映に伝えた。
「あのね…」
「うん」
「私ね…」
「うん…」
その後の言葉はすごく恥ずかしいけど小さい声でちゃんと言った。
「心操君のこと、やっぱり好きかも…」
「うん、だろうね。今更かよ、鈍感過ぎだろ」
「うぐ…」
それは否定できないです。
「まぁよかったよ、自覚できて本当によかった。んで？いつ告白するの？」
「え！？」
告白、という言葉に頭が急に現実に引き戻される。
「こ、ここっ、告白なんてそんなっ…私みたいな鈍臭いダメ女が告白なんて滅相も無い…！」
「大丈夫？頭打った？」
映は、友達になるのは大丈夫なのに彼女はダメなのかーと頭の後ろで手を組んだ。
「とにかく！まだ全然日が経ってないのに告白なんてありえないから！」
「そっかぁ…残念。まぁそうだね、うん、じゃあもうちょっと仲良くなってからだね」
「だからもうこの話はやめよ！はい！終わり！」
てのひらをパンっと胸の前で叩いて強制終了。
映はえー、と顔をしかめたが、渋々前を向いてくれた。
そしてマイク先生の声がして第一試合がもうすぐ始まる。
心操君が、戦う。
そう思うと、ぎゅっと胸が痛くなった。
心操君の個性！！→←おまじないのその結果(初めての心操side)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
