六日目 ページ6
今日は男が仕事で呼び出された
そう、この家には俺と彼女のふたりきり
男は彼女をこの家に一人にすることをとても嫌がった。それでも彼女は男が急いでいること、断れないことを知っており無理やり男を追い出した
俺はこれは好機だと考え、暗闇からそっと体を出した
彼女の目が俺に向き、段々とその大きな目は目玉が飛び出てしまうのではないかと思うほどに見開かれた
「きょ…じゅ、ろ…なんで…?」
「A、俺になにか言うことがあるんじゃないか?」
怯える彼女に俺はできるだけ優しく問いただす。それでも彼女はなんの事だか分からないとでも言うかのような表情をする
子犬のように震えながら一歩、また一歩と俺から離れていってしまう
「怖がらないでくれ、君を許したいんだ」
一言でいい、それだけ言えば俺はもう許すから
「嫌だ、…来ないで…!」
何でそんなに怯えるんだ、悪いことをしたのは君だろう?あの男だろう?
「嫌…!実弥、!実弥、…!助けて……!!」
「その男の名を呼ぶな!!」
「ッ……!!」
「A…俺たちはまだ結婚式を上げていなかったな。それで怒っているのか?大丈夫、君が望むことは何でもしよう、だからあの男のことは忘れなさい」
彼女を壁まで追い詰めて、片手は壁につき片手は彼女の小さな背中に回す。片手で抱きしめられるほどの体は可哀想なほどに震えていて、まるで俺が罪人かのような錯覚に陥る
「ずっと一緒にいよう、A」
俺の言葉に彼女は口を開こうとする。俺は全神経を彼女に向けて返事を待った
しかしそれは忌々しい男の登場によりかき消されてしまった
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ココ丸(プロフ) - なんだかとっても美しくて滑稽な3人の人生を眺めていた気持ちですね、壮絶だ、でもぉ!!!!杏ちゃんもさねみんも!私好きですからぁ!この作品を作られた尊様に感謝!一妻多夫制とかダメでっか? (2022年8月17日 21時) (レス) @page11 id: 47c8403c45 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ - ゆるしてあげるからきにしないでさねみ私はさねみがまもつてくれただけでもうれしい///これからもずーとさねみのそばにいたい (2021年9月29日 18時) (レス) @page10 id: 3ad59a45e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:尊 | 作成日時:2021年9月24日 3時