魔法を使えない魔法使いが、魔法に勝つたった1つの方法。【ハリポタ】 (ページ40)

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鏡と石(セブルスside) ページ40

A・コトブキ

最初は、あのダンブルドアがまた面倒な奴をつれてきた、としか思っていなかった。

マグル界で育った日本のスクイブなど、魔法を習う学校で通用するはずがない。

我輩の意見を無視し、あまつさえダンブルドアは誰の意見も聞かずに此奴を入学させた。

その魂胆が謎だった。

此奴もダンブルドアの駒の一つにすぎぬのか、と此奴がホグワーツから出て行かないと言い出した時には一層哀れに感ぜられた。

その目的が我輩ときた時には、目眩さえ覚えた。

趣味が悪い冗談だと笑い飛ばしてやりたかったが、思いの外此奴の目は真っ直ぐだった。

我輩も、何をとち狂ったのか条件付きでその告白に承諾してしまった。

約束した身で、今さら無しにしようなどとは言えず…

結果、ホグワーツ卒業までに此奴に恋人ができるに賭けてみた。

此奴が我輩に飽きれば、また違う誰かしらに目が行くはずだ。

しかし、その日から早2ヶ月経つが一向に飽きる気配が無い。

それどころか、ますます我輩にひっついているようになった。

整った容姿は、相手に困らないだろうに。

加えて魔法が使えないくせに、魔法を素手で破壊する。

分霊箱を素手で破壊した時には驚いた。

定期テストは学年主席で、茶が旨い。

なんといったか、確か…"石茶"というのだった。赤く透き通った茶だった。

あれは悪くない。

おかげでポッターのクソガキの監視と二重スパイをやっている疲れも半減した。

とにかく、Aは変な奴だ。我輩が授業した中で見たことがないくらいには。

『スネイプせんせぇ…明日は……いっしょに………』

茶で温まって眠そうに話していたが、とうとうソファーに身を預けて眠りにおちた。

癖の一つもない黒髪が、白い肌を滑り落ちる。

目を開くと真っ黒な瞳で、いつも我輩を映している。

ｾﾌﾞ「…なぜ、我輩なんだ」

授業がない休日は大抵我輩のそばにいて、

ディナーの後は朝まで必ず我輩のそばで年齢にそぐわない期待を膨らませて、

結局眠気に負けて我輩より先に寝落ちる。

我輩がポッターのクソガキのことで、過去を思い出されて不機嫌な時の怒り

我が君復活に備えた二重スパイで疲れての八つ当たり

レポートの採点で忙しくて実験も滞り不機嫌な時

我輩の怒りまでも欲しがる独占欲には脱帽すべきかね。

いつも物欲しそうに我輩を見ては、絶対に離れようとしない。

此奴は、遠ざけてもへばりついて来そうだ。

リリー、面倒な奴に懐かれてしまった。