魔法を使えない魔法使いが、魔法に勝つたった1つの方法。【ハリポタ】 (ページ20)

今日:27 hit、昨日:4 hit、合計:96,671 hit

寮生活　スネイプ先生side ページ20

これは…どういう状況だ？

朝起きると、我輩はベッドにいてAに腕を抱かれている。

驚きのあまり言葉が出ない。

昨夜はリリーの瞳をもちながらジェームズにそっくりなクソガキを目の当たりにして、情けないがヤケ酒をしてしまっていたはずだ。

気を紛らわすためのワインも論文も、全部無意味だったがな。

それなのに、一体我輩の意識のない間に何があってこうなったのか。

まさか、＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

恐ろしい考えが一瞬過ぎり、咄嗟にAと自分の服を確認した。

しっかり着ていた。心底安心した。

『んぅ…まだ、あと5ふん…』

ｾﾌﾞ「・・・はぁ(溜)」

我輩はベッドから出て、シャワールームへ急いだ。

さっさとシャワーを浴びて、いつも通り服を着込んだ。

今日は忌々しいポッターの息子に初授業をせねばならんのだ。

面倒臭い以前に、我輩はあの瞳が苦手だ。リリーを…我輩のせいで失ったリリーを思い出す

ポッター、貴様は亡き後までも我輩を苦しめる。最悪だ

ﾄﾞﾝｯ

腹立たしくて壁を殴った

何をやっているのだ、我輩は。こんなことを考えてもリリーはかえってこない

馬鹿馬鹿しい

『ん～…おはよぉ、スネイプせんせぇ……
あれ…、壁なんか殴って、どーしたんです？』

目を擦りながらヨタヨタと歩くAがいた

まだ眠そうに、呂律が回っていなかった

微かに開いた黒い瞳が、我輩を心配そうに見つめる

ｾﾌﾞ「なんでもない。起きたならさっさと顔を洗え
我輩は先に行く。時間になったら来い。遅れたらカボチャスープを逃すぞ」

これ以上情けない姿を見せないように、それだけ言ってドアノブに手を掛けた。

『待ってくださいよ』

ガッシリが手首を掴まれて、振り払おうとしても叶わなかった。

痛くないように、かつ振り解けないように握り込まれた。

さきほどまで眠そうに力なくフラフラしていたというのに、いったいどこにそんな力が隠されているのやら。

魔法の使えない、ひ弱なスクイブのくせに。

ｾﾌﾞ「離せ。我輩は暇じゃないのだ。」

『嫌です。』

ｾﾌﾞ「は？」

まさか駄々をこねるわけではなかろう。そんなことをされては叶わん。面倒だ

『壁なんて殴らないでくださいよ。先生の手が傷つきます
どうしても殴りたいっていうなら、俺を殴ってください
いつでも俺が相手になりましょう』

ｾﾌﾞ「何を…言っている」

Aは赤くなった我輩の手にキスをして、何とも言えない笑みを浮かべた。